なうぇすと ページ38
しばらくすると、遠くの方から私を呼ぶ焦った声が聞こえてきた。
"Aー！！！どこー？？"
重岡が遠くの方から焦った声で、Aを呼んでいた。
"しげ、どしたんー？？ここにおるでー？"
見えるところまで行き、手を振って返事をするとしげは、私を見つけ駆け寄ってきた。
"A！早よ直して！！本番なってまう！！"
多分自力でセットしたのであろう髪型は、寝癖のようにボサボサになってしまっていた。
"もー、こうなる前に言いーや！頭、鳥の巣みたいなってるやん！"
そう言って重岡が手に持っていたコテを使い、鳥の巣状態の髪型を直す。
重"Aの昼寝邪魔するの悪いなー。と思って自分で頑張ってやってみたんやけど、ぜっんぜん上手くできひんくて〜。"
重岡は半べそをかきながら鏡の前で正座した。
"そーやったん？ごめんなぁ。時間ないけど、やれるとこまでやってみるな！"
鏡の前のしげはありがとう！と嬉しそうに笑った。
"何しとんの3人！みんな円陣組んどるで！はよ行きな！"
と慌てて入ってきたスタッフさんに急かされる私としげと流星。
"えーもうそんな時間やった？"
と相変わらずマイペースな流星。
"あかん、しげ！セットこんなもんでええよね！ほら！流星も！早よ行くで！"
後ろが寝癖のように跳ねたままのしげと、のんびり靴を履く流星を連れて私は走って楽屋を出た。
"お前ら遅い、早よ円陣組むで。"
ステージ裏で淳太が呆れたように三人を見た。
"え？ちょっと、しげ！...もごもご。"
しげの直しきれなかった後頭部付近の鳥の巣をのんちゃんに発見されてしまった。
私は急いで吹き出しそうなのんちゃんの口を手で塞いだ。
"..のんちゃん言わんといて！もう時間ないの！"
こくりこくりと頷くとのんちゃんは嬉しそうに、しげの後頭部を指差して笑った。
そんなしげの後ろ姿に私は必死で謝った。
"しげほんまにごめん！"
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作者名：まる | 作成日時：2019年1月19日 21時
