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「なんなんそれ...。」
...あの頃の俺たちはデビューさせてもらえない悔しさから、影でさんざんAの悪口を言ってた。
「昔の俺らは、応援してもらう価値なんてないやん。」
『あはは確かに言ってたなー!!
けど、事務所から特別扱いされてた私をWESTのメンバーとして受け入れてくれたやん!
自分たちは、なかなかデビューさせてもらえんかったのに一緒にまたWESTとしてデビューしよう。って言ってくれてほんまに嬉しかったんよ。』
えへへ。と笑うA。
俺はさっきから自分の涙でAが見えんかった。
『濱ちゃん!?!?ちょっと!!泣かんでもええやん!!!』
「Aが俺らにもジュニアにも優しくしてくれるのはそれが理由やったんかー。」
『もー濱ちゃんさすがに泣きすぎやで!!
私の方こそ濱ちゃんにいつも優しくしてもらってるから!!!』
「あかん、そんなこと言われたらまた泣いてまう。」
『もー私が泣かしたみたいやんー!』
帰りの車でまぶたをパンパンに腫らした俺に
あんまり釣れんかったなー。と話すA。
眩しいくらいのオレンジ色をした夕焼けが、涙で腫れた俺の目をさらに細くさせた。
『今日の話しあんまり人には言わんとってな?』
Aが助手席から流れる景色を眺めながら呟いた。
「えぇ?こんないい話しを?メンバー知ったら喜ぶで?」
正直今すぐにでもみんなに伝えたいくらいや。
『いーやん。濱ちゃんと私の秘密な?...言ったら濱ちゃん泣いたこと言うで』
そう言って意地悪そうに笑った。
泣いたこと言われるくらい俺はどうってことないけど、2人だけの秘密ってのも悪くない。
俺はそれが嬉しくて、にやけそうになる顔をグッと堪えて帰宅するのであった。
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作者名:まる | 作成日時:2019年1月19日 21時