第百九話【解除】 ページ7
「オモチャの反乱、かあ。」
街で見掛けるオモチャは皆いつも幸せそうだったのになぁ。
男の子と一緒に走る犬のぬいぐるみ。お姉さんの腕に抱かれたマトリョーシカ。恋人のようにお互いに寄り添う姿も珍しくなかった。
何が嫌だったんだろう?人間病にかかっちゃったのかな?
オモチャからしてみれば、生身の身体は憧れなのかもしれない。命があってもオモチャはオモチャ。決して人間には……
……………あれ?
「オモチャは、人間じゃ、ない?」
あれれ?なんだろ。当たり前のことなのに。なんだかとても胸に引っ掛かる。
でもオモチャだ。人間の製造物だ。ロボットみたいなものだ。私の認識は合ってる筈。筈なのに。
「う、………」
頭痛い。急に眩み出した視界に思わず壁に寄り掛かる。
ぐるぐる、ぐるぐる。
回る視界。止まる思考。
そんな中、ふわりと甘い匂いが鼻腔を掠めた。
よろよろと匂いの源に目を向ければ、白い湯気が漂うココアのカップがなんとか見えた。
甘い甘いチョコレートの味が喉の奥にじんわりよみがえる。
そういえば、前に、とってもあまい、ここあをのんだ、よう、な………
『──、───』
『───れ、─ぐら───よ─』
『──ッフ──!─まで──わか─ンな──す─うはねぇ─』
『────全部、話してやるよ』
おとうさん。
わたし、まだ、なにもきいてないよ。
「───ぎゃぃああああ!!!!辛ぇえええええええ!!!!!」
「キャアァァァァァア!!!!!」
ボワワワワン!
脳の裏側で、閃光が弾けた。
『うるさい』
『あ、オモチャ?んでこんなところに…?』
『にゃあにゃ……』
『不安材料は、消すのが一番だ』
『……おいテメェ』
『も、戻った……?』
『お父さん、』
『そこまでわかってんなら隠す必要もねェな』
『でもまあ、こいつを飲んでからだ』
悪趣味で毒々しいカラーリングの布。
剥げかけたメッキのリング。
継ぎ接ぎだらけの手足。
青いビー玉が嵌め込まれた瞳。
血も、鼓動も、涙も、痛みも、温かさも何ももない、無機物の身体。
そうだ、そうだ、思い出した。
なんで、なんで、こんな大切なこと、忘れていたんだろう。
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本の虫(プロフ) - ぴのさん» ご指摘ありがとうございます!!またやらかしましたね!!ごめんなさい!!トーテムポールの親戚だと思います。本当にごめんなさい…… (2019年10月30日 18時) (レス) id: 37015c2fbe (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 取り調べ報告書のキャラの名前が違いますよ。トーレ厶ボールって誰ですかwww面白くて吹いたw (2019年10月30日 17時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
ひなな(プロフ) - この物語ほんっっっとうに面白くて大好きです!!これからも応援してますので更新頑張ってください(o^∀^o) (2019年10月20日 13時) (レス) id: 7b6c2dd18e (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 暇人で眠人さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。完全に素で間違えていました……。キャラの名前を間違えるというファンにあるまじき失態……過去の自分を殴りたいです…… (2019年10月18日 23時) (レス) id: 37015c2fbe (このIDを非表示/違反報告)
暇人で眠人 - 作者さん!セッショウの所!イッショウですよ!間違ってたらすいません! (2019年10月18日 21時) (レス) id: a9a348183f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:本の虫 | 作成日時:2019年5月1日 9時