第百二十一話【取引完了２】 ページ25
手帳は道標の為に白紙のページが何枚か破られただけで変わりなかった。裏表紙にも、あの名前はしっかり書かれている。
「よかった……」
正直これを取り戻す為に色々やらかしちゃったけど、すごく安心する。知り合いはいるけど、本当の家族はお父さんしかいないから。
ぎゅっと手帳を胸で抱える私を、レッドさんはじっと無言で見下ろしていた。
「ありがとうございますレッドさん」
「……おれに礼言ってどうする」
「ま、まあそうなんですけど……首、もう苦しくありませんか？」
結構きつく締め付けてあったからなあ。ベルトの長さぐらい、お父さんに頼めばよかったのに。
まだ微かに痕が残る首筋を見つめていると、すぅとレッドさんは赤い瞳を細めた。
「………お前、やっぱり馬鹿だな」
「は？なんですか急に失礼な！」
「世界一の馬鹿だ。救えねェやつ。付ける薬もありゃしねェな」
「罵倒の嵐！」
レッドさんの何がそうさせるの！？
真っ青になった私の表情が暗闇でもわかったのか、ハッと鼻でわらったレッドさん。でもすぐ無表情に戻って、私に一歩近付いた。
「ほんとうに、ばかだなァ。黙って立ち去りゃ見逃してやったのに」
え？
それ、どういう───？
レッドさんの手が私の頬を撫でた。その手つきがやけに優しくて、脚どころか指一本動かなかった。
親指の先が、私の口角に触れる。
「サービスだ。イイこと一つ、教えてやるよ」
鼻と鼻が触れ合うぐらい近付いた、恐ろしいぐらい優しい笑み。
視界に映るのは、美しい赤色だけで、
レッドさんの口がゆっくりと開いたその瞬間だった。
ドカァァン！！
通路の奥からだった。
曲がり角の右方向から粉塵が上がる。同時に人の声と足音が響いてきた。
「うっそだろ！？こんなところに通路あったのか！？」
「だから言っただろ！あの赤目の情報屋がいつもここ使ってるって！」
「マジかよ……うわっ汚ねぇ！埃まみれだ！」
「とにかく、ここを通れば王宮まで行けるはずだ」
「ッカーー！地震で地下に閉じ込められたときはどうしようかと思ったが……爆弾あってよかったぜ！」
「いいから行くぞ！敵前逃亡疑われて殺されるだけはごめんだ！」
こっちに来る！？
どうしよう！今から階段登っても見つかるだろうし……ああ！足音が！
わたわたする私とは対照的に、レッドさんは小さく舌打ちすると、私の腕を強く引いて例の行き止まりの廊下……木箱の隙間に押し込んだ。
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本の虫(プロフ) - ぴのさん» ご指摘ありがとうございます！！またやらかしましたね！！ごめんなさい！！トーテムポールの親戚だと思います。本当にごめんなさい…… (2019年10月30日 18時) (
レス) id: 37015c2fbe (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 取り調べ報告書のキャラの名前が違いますよ。トーレ厶ボールって誰ですかwww面白くて吹いたw (2019年10月30日 17時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
ひなな(プロフ) - この物語ほんっっっとうに面白くて大好きです！！これからも応援してますので更新頑張ってください(o^∀^o) (2019年10月20日 13時) (レス) id: 7b6c2dd18e (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 暇人で眠人さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。完全に素で間違えていました……。キャラの名前を間違えるというファンにあるまじき失態……過去の自分を殴りたいです…… (2019年10月18日 23時) (レス) id: 37015c2fbe (このIDを非表示/違反報告)
暇人で眠人 - 作者さん！セッショウの所！イッショウですよ！間違ってたらすいません！ (2019年10月18日 21時) (レス) id: a9a348183f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：本の虫 | 作成日時：2019年5月1日 9時
