第百十三話【道標】 ページ13
案外時間が掛かったな………
曲がり角の度に人影がないかチェックしてたせいだけど、予想してたより倍は経った。
「ついたけど……やっぱりないかぁ」
例の廊下も人はいなかったけど、肝心の手帳も落ちていなかった。
というか、人いなさすぎじゃない?ここまで来るのに遭遇率0なんだけど。
一応柱の影とか、近くの部屋も覗いてみたけどそれらしきものはない。
やっぱ誰かに拾われた?名前書いてあるから後で届けてくれるつもりなのかな?
「ん?これは……」
床の石板同士の僅かな隙間に、詰め込まれたように何かが挟まっていた。
取ってみると、普通の紙切れだった。くしゃくしゃで何も書かれてないけど、この緑の枠線には見覚えがある。見覚えしかない。
「これ、手帳のやつだ」
間違いない。この滑らかな手触りは、天竜人ご愛用の品だという手帳の一枚だ。
「偶然じゃ、ないよね」
偶然であんなにしっかり挟まらない。誰かが意図的に入れたと見て間違いないだろう。勿論、手帳を拾った人が、だ。
一体誰がこんなことを……
周囲をよく見てみると、近くの壁のランプに、その先の階段の手すりにも、ひらひらとくくりつけられている。
等間隔に、まるで道標のように。
「………行くしかないかぁ」
正直すっっっごく怪しいけど!罠の匂いしかしないけど!他に手掛かりはないんだ。行く他に道はない。
深く息を吐いて、そーっと階段に足を下ろす。
トラップは……ないか、流石に。
道標の紙片を頼りに、人の気配に注意しつつもひたすら階段を下りていく。見聞色の覇気超便利。ありがとうラオGさん。
「なんかこんな絵本あったな……」
幼い兄妹が森に行くとき、千切ったパンを道に置いていくやつ。ラストは確か……バットエンドではなかった……ような………?
………うん。止めよう。タイムリー過ぎて縁起が悪い。
余計なことを考えいたら、いつの間にか外塀部分も下りきって、地下への入り口が目前まで迫っていた。
ヒュゥウウと地下から風が昇ってきて髪を揺らす。
階段は上の階のよりボロくて、先の廊下には窓がないのか、辛うじて一番下が見えるぐらい暗かった。
「紙、あった」
階段の途中のボロボロな手すりに、さっきまでと同じようにくくり付けられてある。
ならもう、行くしかない。
「ええい、なるがままよ!」
意を決して暗い階段に一歩踏み出した。
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本の虫(プロフ) - ぴのさん» ご指摘ありがとうございます!!またやらかしましたね!!ごめんなさい!!トーテムポールの親戚だと思います。本当にごめんなさい…… (2019年10月30日 18時) (レス) id: 37015c2fbe (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - 取り調べ報告書のキャラの名前が違いますよ。トーレ厶ボールって誰ですかwww面白くて吹いたw (2019年10月30日 17時) (レス) id: 5f84d6c253 (このIDを非表示/違反報告)
ひなな(プロフ) - この物語ほんっっっとうに面白くて大好きです!!これからも応援してますので更新頑張ってください(o^∀^o) (2019年10月20日 13時) (レス) id: 7b6c2dd18e (このIDを非表示/違反報告)
本の虫(プロフ) - 暇人で眠人さん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。完全に素で間違えていました……。キャラの名前を間違えるというファンにあるまじき失態……過去の自分を殴りたいです…… (2019年10月18日 23時) (レス) id: 37015c2fbe (このIDを非表示/違反報告)
暇人で眠人 - 作者さん!セッショウの所!イッショウですよ!間違ってたらすいません! (2019年10月18日 21時) (レス) id: a9a348183f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:本の虫 | 作成日時:2019年5月1日 9時