ウサギなご主人

演技？ ページ10

夕食を終えられて、終始曇った表情だった坊ちゃまは、部屋に戻られても不機嫌だった。

……今日は坊ちゃまの不機嫌頻度が高い。







「なぜそこまでテヨン様を嫌われるのですか？とても気品がよくてお優しい方だと思うのですが」

「Aは騙されてんだよ。俺とアイツのやり取り見ればすぐわかる」








ソファの背もたれに体を預けて顔をしかめる坊ちゃま。

……「それにアイツ胸あんまないし」って今ちっちゃい声で言ったの聞こえてますからね。









「見たことはありますが全くその様子はありませんでしたよ？」

「あー…あいつガード高いからな…。いつも周り警戒して媚び売ってるし」

「そうですか…？」








でも、ということは坊ちゃまにしか素を見せてらっしゃらないということでは？

そう考えればお二方、意外といい線行くのかも…。








「それにアイツ俺のこと嫌いだし。まあ俺も嫌いだからそれは別にどうでもいいんだけどさ、なんでそういうやつと将来一緒になんなきゃいけねーの」

「え、テヨン様がそうおっしゃったのですか？」

「うん、『あんたみたいなTHE・坊ちゃんみたいなやつが一番嫌いなのよ』って言われた」

「……変わったお方ですね」

「だろ、アイツもTHE・お嬢様みたいな風貌かましてるくせに」

「…はは」









坊ちゃまが真似したテヨン様は私が見てきたテヨン様とはかけ離れた口調。

ほんとにその方はテヨン様なのだろうか。

坊ちゃまの記憶が曖昧になっているだけじゃ…？

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