寂しがりの末っ子 ページ4
家に帰ると案の定ギャン泣きのチソンがヤンヤンをポカポカ殴っていたのでいいきみだと思って眺めていたら冷静さを取り戻してこっちをまっすぐ睨んだ。一つも怖くない
「怒ってます」
チョンロの入学式に参加したあとバイトに行って帰って一言目がこれだ
血は繋がってなくても兄弟はどこか似るものなのだな
「今日ぐらい許してくれませんかねえ、チソンさん」
「むりです」
おっとこれは長期戦になりそうだ
逃げようとしていたヤンヤンの脚を掴む
「いや無理だよ。そろそろ夜ご飯の時間だし」
「うちで食べていきなっせ」
掴んでいた脚を握りしめた。するとヤンヤンが畳の上でのたうちまわる
「暴れんな、下の人に迷惑だろ」
「じゃあてめえが手離せ!ゴリラか!」
「あ?誰がゴリラだって?」
こんのクソガキ絶対許さない。パチンコ屋の常連には結構可愛いって言われてんだぞ
「はい、ねえちゃんもヒョンもストップ!!」
取っ組み合いの喧嘩をしていると入学のしおりを静かに読んでいたチョンロが割って入ってきた
「止めるなチョンロ。ヒョンはなこの怪力くそゴリラから地球を守んなきゃいけないんだよ」
「おお?やんのか?かかってこいよ」
「もう、二人とも大人げないなあ」
チョンロはこれみよがしにため息をついてチソンの頭をぺちっと叩いた
「お前もピーピー泣くのは止めろ」
「「おお」」
私が叩いたらもっと泣いただろうに。さすが兄弟。チソンはすぐ泣き止んでチョンロを睨み付けた
「チョンロに僕の気持ちはわからないでしょ!」
「うん、興味ないもん」
おっと今度はこっちが取っ組み合いの喧嘩になりそうだ。
そう思ったときチョンロはチソンの視線に会わせるようにきゅっとしゃがんだ
「どうせ来年になったらチソンもねえちゃんを独り占めできるよ」
チョンロがそう言ってこんどはチソンの頭を撫でた。
「ねえ、ねえちゃん」
「ん?」
「チョンロってほんとに小学生?」
「人生三回目かな」
さっきの険悪なムードから一転、二人は手を繋ぎながら入学のしおりを読んでいる
「おし、ヤンヤン帰っていいぞ」
「は?ご飯食べてけって言ったじゃん」
「ゴリラの作った飯が食いたいんか?」
「うわっだるっ、ねえちゃんって引きずるタイプ?」
「黙れ出てけ」
このあともう一回チョンロに喧嘩を止められた
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作者名：ara | 作成日時：2021年10月31日 22時
