私、松田陣平に捨てられたと思ったらゴリラと結婚しちゃいました

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松田side


萩原が飲みもんを買いに行って、全く戻らないため俺の仕事が増えてイラついていた。

仕事が増えるのも面倒だから萩原を呼び戻そうと自販機まで来た時だった。


は？どういう状況？


俺がそう思ったのは決して悪くない。……よな？

萩原の高く上げられた手にAが背伸びしながら飛び付いていた。

手が届かず背伸びの状態がキツいのか、Aは萩原の服をわし掴みにして必死に手を伸ばしていた。

呆れながらも俺は歩み寄り、声をかけた。


「何してんだよ」

「あっ松田」

「ちょ…っ……助けて。ヘルプ…
　萩原に小銭取られた…」


体を小刻みに震わせながらそう言うAに、俺は腰に手を回し取り合えず背伸びを止めさせた。

そして萩原の手から小銭を奪いAに手渡す。


「ほらよ…」

「ありがと。じゃ…」


そそくさと帰ってしまうAの手首を慌てて掴むが、すぐに弾かれてしまう。


「松田…」

「ンだよ降谷」

「人の嫁に手を出すな」

「ちょ…、降谷？そんなガチに
　なんなくても」

「籍も入れてねぇんだろ？」


そう言うと明らかに驚いた顔をするAと大きな舌打ちを鳴らした降谷。

咄嗟に「え、そうなの？」と尋ねるA。

まさか降谷……自分の判断で出してねぇのか？


「ﾁｯ……行くぞ萩原」

「え、あぁ」


ンだよ彼奴……。訳分かんねぇ。

俺はグシャっと自分の頭を掻いた。


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