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#32 ページ32

spring moon #32

日中の間、太陽が照りつけていたにも関わらず
ソウル市内を覆い隠してしまっている雪は、こ
れっぽっちも溶けていない様子だった。

相変わらず、冷たく頬を撫でて消えて行く風に
目を細めながらスニーカーの裏で雪を感じては
歩みを進めて行く。

緊張すればする程、幾分ある筈のカフェまでの
距離が近い様な気すらしてしまい、まだ心の準
備が出来ていないと言うのに距離は縮まる一向
なのだ。

ガラス張りの外観からカフェの中を覗いて見る
けれど、何時もカウンターに居る筈の彼の姿が
見当たらない。

時間を間違えてしまっただろうかと首を傾げな
がらも、彼と顔を合わせるべく店内へと足を向
けた。

何時もと同じ様に窓際のカウンター席の前へと
向かい、腰を下ろす。

窓から見える外の景色には随分見慣れてしまっ
たけれど、何だか今日ばかりは違って見えた。

「ヌーナ...お待たせ」

「わっ!」

突然の背後からの声に驚いてしまい、声をあげ
ながらも振り返ってみると、嬉しそうにふにゃ
ふにゃ微笑む彼が立っていた。

「驚かせちゃってごめん...ヌナ、気付いてない
みたいだったからつい」

「ダニエルくん、ずっとここに居たの?」

「俺もついさっき来たばっかり、逆の道から来
たからヌナの前は通らなかったんだよ」

そう言いながら隣の席へと座り始める彼に目を
向けては、余りにも急な出来事だった為にだら
しない顔をしていなかっただろうかと恥ずかし
くなって来てしまう。

「何時もはこの時間、カウンターに居るから...
てっきり姿が見えないだけで先に来てると」

「ううん、今日はシフト入れてないからヌナと
夜まで一緒に居られるよ?」

「夜まで...」

カウンターテーブルに肘をつきながら、嬉しそ
うに見つめられた上、優しく微笑まれてしまう。

改めて間近で感じる彼の雰囲気に、今にも圧倒
されて目眩がして来てしまいそうだ。

それに、今日も何時もと変わらず彼のバイト勤
務時間後にしか二人でゆっくり会話が出来る事
は無いのだろうとばかり思っていた。

が故に、今から夜まで二人きりなのだと考える
と急激に身体中が熱くなっていくのが手に取る
様にして分かる。

「ヌナ、耳が赤くなってる」

伸びて来た大きな手の甲で頬周りの髪を避けら
れたかと思えば、するりと撫でられてしまう。

彼が見せる表情や仕草が、今日ばかりはやけに
鮮明に見えてしまうから。

きっと私の心臓は夜まで持たない様な、そんな
気がするのだ。

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設定タグ:wannaone , カンダニエル , WANNAONE   
作品ジャンル:恋愛
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choi(プロフ) - maryさん» ジソンオンマタイミング!笑 母性本能全開のジソンさんにはオンマ的ドジも頑張ってもらわないと、と思いましてヽ(´o`;にしても我ながら今のタイミングはちょっと!ですヽ(;▽;)ノ (2018年9月12日 19時) (レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - あああああ!!ジソンオンマー( TДT)今は声かけちゃダメー( TДT)笑 (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ぜひ!!ぜひその番外編読みたいです!!( *´艸) (2018年9月12日 12時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)
choi(プロフ) - maryさん» ジェファンとの絡みに反応下さるのmaryさんだけなので、密かに凄く嬉しいです!笑 番外編でダニエルくんとジェファンのお話を書こうかな...なんて思っちゃいますヽ(´o`; (2018年9月12日 11時) (レス) id: 3ac3189961 (このIDを非表示/違反報告)
mary(プロフ) - ジェファンとの絡み待ってましたー!!やっぱりダニエルくんとジェファンくんの絡み大好きです(*´∇`)もうウジンに何されたんだ!!笑 (2018年9月11日 23時) (レス) id: d75f5942a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:CHOI | 作成日時:2018年7月9日 16時

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