０時を過ぎても魔法はとけない２ (ページ1)

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５０-KHside- ページ1

すぐに俺は調べさせたさ。
Aが今の今まで、どんな成長を遂げて来たのかを経歴を。

中学･高校･大学で首席。
所属していた部活動の柔術ではインターハイ準優勝まで果たしてた。
大学を卒業後には、俺ん家の警備に中っていたって言うんだから驚いた。(知らなかった。)
男の存在は愚か影すらない事もご丁寧に調査書にまとめてくれて。(別に知らなくても良かった。)

ここまで優秀な人材を、ただの警備に回らせておくなんてどう考えても変だ。
何故、そんな日の当たらないポジションに付かされているのか謎だった。

けれどその謎は、すぐに解けた。
今まで俺の周りにいたお目付け役は決まって、側に置くのも嫌になるむさ苦しい男ばかりだった。

RW『そりゃね…どうしてもそうなるよ。』

Aの家が、代々俺ん家に仕えている家系だという事は後になって知った。
つまり、おっさんの後を継ぐべきAは本来俺のお目付け役になるのが当然の流れなのにも関わらずだ。

女であるたったそれだけの理由で、Aはその道を断たれていたんだ。

そこで繋がったんだ。全部が。

Aは一体、夢を叶える為にどんな努力をして来たのだろう。
女だというハンデを背負って、それを払拭する為にどれ程の思いをして来たのだろう。

子供ながらに妙に、しっかりしていたのも。
見る度に表情から感情が消えて行っていたのも。

全ては、夢の為に。
ただ俺の側で、俺を守る為だけに何十年も時間を費やして来たと言うのなら…。

俺は、衝撃を受けた。

『…そこまでしてる奴を目にして、黙ってられるかよ。』

RW『んで、ゴリ推ししたってわけだ？』

側に置くならむさ苦しい男共よりよっぽど良い。
どこのどいつだか知らない奴より、一応は幼少期からお互い認識がある方がまだマシだし。
別に…嫌いじゃ…ないし。

何より、そこまでして俺の隣を目標としていたAの夢を叶えてやりたかった。

だから俺は絶対にAを解雇したりなどしないと心に決めている。
…たまに、揺らぐけど。

RW『それでまた隣で昔みたいに笑って欲しいんだ？(笑)』

『…悪いかよ。』

見た事がないから知らないだろうけど。
こいつ、笑うと案外、可愛いかったりするんだぞ…？