クソ幼馴染みの犠牲11 ページ30
さっきカッターで切った右腕からは、それなりに治療出来そうな量の血が流れていた。
「……先生、今助けますから」
まず出血の酷い腕へ自分の透明な血を垂らして行き、一気に治癒を行う。
いつも通り、命令を下してすぐに血は光ったのだが、怪我の具合は少し良くなっただけ。
「……そんな……」
どうやら、重傷過ぎる先生の怪我の治癒は、私の数滴の血では治せない程ヒドいらしかった。
それだけ、あの脳無の力は強かったんだ。
ーーこんだけ囲まれてちゃ、逃げろなんて言えねェが、そんでもお前は俺の生徒だ。絶対守るーー
「…………ッ」
先生が守ってくれなかったら、本当に私は殺されていた。
そっと先生の顔に掛かる髪を指で分けて、顔の傷へも血を垂らして行く。そして透明な血を、今可能な限りの量を取り出して先生に飲ませた。
幼かったあの日、私はかっちゃんを助ける為に自分の事なんて考えなかった。
救えさえすれば、それで良いって。
でも、それは結果かっちゃんを苦しめて。
救えたのは身体だけ。
心までは救えてなかった。
私がこの個性を使って行く上で常に向き合わなきゃいけないのは、自分を“犠牲”にしないギリギリを見極める事。
そして最小限の治癒で最大人数の命を救うことだ。
「こんな事しか出来なくて、本当にごめんなさい……」
先生の傷すべてを治す事は、今の私には出来ない。
ならば、先生がリカバリーガールの治療に耐えられるくらいの身体になる所まで傷を治そう。
「……お願い〈先生の怪我を軽減させて〉」
先生の身体全体の傷の深部だけに集中して治すイメージを、頭の中で何度も繰り返す。
命令が下った透明な血が、内部へ浸透し、ごく僅かに先生の身体が光るのが分かった。
そしてーーー
「………ん……」
先生の唇がほんの少し動いて、声が漏れ出し、意識が戻ったのが分かった。
「あ……相澤先生……っ！！」
抱き着きそうな程嬉しいのを必死に抑えて先生の名前を呼ぶ。
相澤先生…！！
意識戻ってくれた、本当に、良かった……っ！！
「この声…は…佐藤……か？」
「はい…はいッそうです！先生のお陰で、私、無事です……っ」
「そうか……」
涙声にも構わず必死に返事をしてしまった。
顔の傷はまだ深く、先生は目は開けられないみたいだけど、それでも少しだけ笑ってくれた。
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Yuki(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます！かっちゃんはやればできちゃう料理男子です笑主人公の胃袋をガッチリ掴んでます！また新しく続編を作りましたので、そちらもよろしくお願いします(*^^*) (2016年6月25日 14時) (
レス) id: b5e1978a20 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - 休日編キターーーー！！！かっちゃんーーーー！！！実は料理男子なの！？･･･スープ飲みたいな･･･騒ぎましたねすみません、続き楽しみです！！ (2016年6月24日 0時) (レス) id: 088ecfe5cf (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - すずぅさん» コメントありがとうございます！かっちゃん最初めっちゃ嫌な子でしたもんね笑好きになるキッカケになれて凄く嬉しいです！(*^^*)更新頑張りますので、今後ともよろしくお願いします！ (2016年6月20日 15時) (レス) id: b5e1978a20 (このIDを非表示/違反報告)
Yuki(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます！やっと幼馴染みの関係から変化を起こすきっかけが作れました！クレープ組の活躍に私も期待したい所です笑 (2016年6月20日 15時) (レス) id: b5e1978a20 (このIDを非表示/違反報告)
すずぅ(プロフ) - 最初は苦手だった爆豪もこの小説のおかげでヤバイほど好きになった。最高です…！！！応援してますっ (2016年6月20日 2時) (レス) id: 66e540a67a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Yuki | 作成日時：2016年6月1日 12時
