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*無一郎side
コトコトと壺の中で揺れながら
また気味の悪い胴体を出し始めた玉壺。
壺に入れば壺ごと移動できる、と仕組みか。
成程。あの魚鬼もコイツの血鬼術か。
玉壺「私のこだわりはこの壺の…」
言い終わる前にパキン、と壺を斬った。
コイツの話は嫌いだ。どうも癇に障る。
人の
コイツの芸術とはそんな醜い感性の塊。
まともに聞く価値もない。
さっさと殺して地獄に叩き落とすべきだ。
玉壺「斬りましたねぇ…私の壺を。芸術を!!!!」
あれのどこが芸術なのか。
そもそも斬ったはずの壺がまたそこにあるのは何故?
壺が関係した血鬼術であることは間違えなさそう。
そしてこれだけ逃げ回るってことはあれが本体か。
壺鬼はまたどこからともなく小さめの壺をだした。
そこから水音を立てて中からは金魚が出てきた。
死んだ魚のように目を飛び出させたそれは、
怒ったように口を膨らませた。
無一「(なにか来る)」
刃を構えた。
玉壺「千本針・魚殺!!!!!!」
無一「__!!!!」
千本針、という名前の通り数多の針が
俺を目掛けて放たれた。
さすがに量が多すぎるので相殺は面倒だ。
ここは引いた方がいい。
針の方向を自由に操ることはできないのか、
針は俺がいない屋根にただただ突き刺さった。
小鉄「わぁぁぁああ」
鋼蔵「小鉄少年!!!!!!」
無一「(あ、忘れてた)」
間に合わない、とわかった時には庇っていた。
今までならきっと見捨てていたであろう彼らを。
顔のあちこちに針が刺さった。
勿論痛い。でもそれがあの人じゃないならいいや。
無一「邪魔になるから隠れておいて」
例えばどれだけ怪我をしたとしても鬼は容赦ない。
魚はまた口を膨らませて針を吐こうとする。
あまりに多すぎる針は全てを相殺する事は不可能。
バカ広い攻撃範囲から逃げることも不可能だった。
俺はチクチクと身体中に針を刺された。
傷が焼けるように痛い。心做しか体が動きにくい。
玉壺「どうです?毒で手足が麻痺してきたのでは?
つまらない命を救ってつまらない場所で命を落とす」
本当に滑稽だ、と鬼は俺を嘲笑った。
ズキン、とまた頭が痛む。その台詞を覚えている。
誰に言われた?
…夏だ。暑かった。戸を開けてた。
暑すぎるせいか夜になっても蝉が鳴いていた。
うるさかった。僕の中にでてきたお前は誰?
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彼岸(プロフ) - ありがとうございます!そう言って頂けるととても嬉しいです! (2020年12月2日 12時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
三隣亡 - テスト頑張ってくださいね!更新は急がなくて大丈夫ですよ!お身体大事になさって下さい!更新は気長にゆっくり待ってます! (2020年12月2日 11時) (レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - すみません、意図は無いです。更新間違えしました! (2020年11月27日 18時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
萌 李 。(プロフ) - 話数が160から163になっていますよ!何か意図があるなら申し訳ないです。いつも楽しく読ませていただいてます!続き楽しみにしています! (2020年11月27日 16時) (レス) id: 4efc2c34fa (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - 原作全てをもって終了させていただく予定です。長くなると思いますが、お付き合い下さい。 (2020年11月24日 9時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年11月23日 19時