神憑きの鬼殺隊・陸

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＊半天狗(無情)side




血鬼術が効かんのであれば
物理的に殺せばそれで良い。

その柔肌を切り刻んで血に染めてやろうか。
ゆっくりと心臓を穿って苦しませてやろうか。
それとも、ひと思いに潔く頭をはねてやろうか。






無情「(いつまで1人で喋っておるんじゃ)
何を1人で話しておる…気味が悪いなぁ」





あぁ気味が悪い気味が悪い。
呪い子の考える事やること全ての気味が悪い。

極悪人じゃ。
呪い子は産まれてくるだけで大罪なのじゃ。
呪い子は生ける厄災じゃ。殺さねば殺さねば。





『付喪神・三日月宗近に命ず。
我が血と契約し、我が肉と、我を支えよ』






おかしな話じゃ。
今まで見えなかった人が見える。

女よりも背丈も何も違う細身だが大きな男。
まるで平安時代のような服を身に纏う男。

何故じゃろうか。初対面なのに儂はあの男が怖い。
あの男から感じる全てが生理的に受け付けない。





「我、付喪神・三日月宗近。
其方を主とし永久の忠誠と愛をここに誓おう」


無情「(今度は一体なんなんじゃ)」







血のように真っ赤な桜吹雪が辺り一面を覆った。
嵐の如く吹き荒れる桜吹雪に目も開けられん。

軈てしばらくして収まり、目を開ければ
女は髪の色を変え、目を藍に染めていた。

それだけじゃない。






無情「力が増しおった。
また虐めるのか…また虐めるのか…」




またあのお方が苦しむのか。
鬼じゃ。鬼のような女じゃ。





『笑止。戯言を抜かすな鬼』





手に腰を当てこちらを睨む女の後ろに、
先程の男が優雅に微笑む様が重なった。

どちらもこちらを睨む目は鋭く冷たい。
思わず腰が引けてしまったわい。





「『今宵は三日月。
_______明日の月は綺麗だろうなぁ』」






確かに今宵は三日月。
だからなんだと言うんじゃ。

あぁ。忌み子じゃ。忌み子だからじゃ。
己の死を受け入れられずに狂いおったんじゃ。




刹那に忌み子は三日月を背に高く高く跳躍した。
その跳躍は玉兎の如き。舞う様は銀蝶の如き。

月を背に大きく脇差を振りかぶる忌み子。
その後ろに大きく立ちを振り上げる男の影が重なる。




ドクン、と心臓がなった。
嫌な汗が滝のように吹き出てくる。
然し、儂は何かに魅入られたかのように固まった。

そのまま弧を描いて儂の頸は斬られ、
もう再生はされなかった。





無情「鬼のような女じゃ。
お主のようなやつが人であっていいはずが…」






お主のようなやつが人であっていいはずがない。
鬼めが…。

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