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*菜愛side
「パァァ))!!、ありがとう!!こっちだ!!」
『…!?///』
彼は静かな夜に似合わない眩しい笑顔を見せた。
まるでその瞳のように綺麗な向日葵の笑顔を。
そしてあろうことか私の手を取り、
少し強引にも引っ張りながら走り出した。
「俺は太鼓鐘貞宗。さ、ド派手に暴れようぜ」
『私は月奏桜兎です(ニコ』
太鼓鐘貞宗、と名乗った神様は1度振り向いて名乗ると、再び淡い青のマントを翻し、走り出す。
「そこ、段差あるぞ」とか言ってくれる。
あ、コイツ絶対伊達男だ。モテるやつだ。←
とか思いながらやってきた先はとある古びた寺。
そこからはよく知っている禍々しい気配と悲鳴。
「きゃぁぁぁ」
「先生!!先生!!…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!!!!!!!!」
太鼓「お願い!!ヒメちゃん先生達を助けてくれ」
『承知致しました、私は行きます。ご武運を((ニコリ』
チラリ、目の端に写った木の裏にいる少年。
その顔は悲痛、後悔、安堵に歪んでいた。
『神に懺悔を、あなたの逝く先に冥福を。
命の呼吸、陸ノ型_嗤ノ舞・数珠蓮華』
数珠蓮華が弾けるように幾千もの刃が鬼を目指し、
舞い散る。1つの刃が鬼の頸を刎ねた。
下弦でも上限でもない。ただの雑魚の鬼の身体、
頭には殴り倒された後が沢山あった。
「……君は、、」
『貴方がこの鬼を殴り倒したのですか?((ニコリ』
「あっ、あぁ。!!!!!!…沙代!!沙代!!」
沙代「ばっ、化け物!!こっちに来ないで!!来ないで!!」
「……沙代?」
沙代「お姉ちゃん!!!!逃げよう!!!!この人はあの人がっ全部殺したの!!!!みんなあの人が、殺したの…」
_______記憶の混濁。
この業界ではよく見る光景だ。
目の前で仲間が、一般人が殺された恐怖。自責。
様々なものが雁字搦めになり、記憶が改ざんされる。
仕方がない、と言ってしまえばそれまでだ。
しかし、彼は盲目。
あのように満足な食事も取れない身体で子供を護るために命をかけて殴り倒した。
そんな勇敢で感謝される立場にある彼にその事実はあまりに残酷ではないだろうか。
『隠、外の子供
隠「4人の子供は既に他界しています。
3人の子供はまだ息をしています、今夜が峠です」
『了解した。報告、御苦労様。下がっていい(ニコ』
今だ俯く"ヒメちゃん先生"と"沙代"を気絶させ、
私は古寺を後にした。
振り返った先に太鼓鐘貞宗様の姿はなかった。
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伊織(元三日月)(プロフ) - 0× の所が無一郎が霞柱と隠のところにいますよ。これからも頑張って下さい (2020年12月2日 2時) (レス) id: 73bdd1a7af (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!たぶん治ったと思うのですが、まだ「上限」となっていたら教えていただけると嬉しいです! (2020年11月12日 21時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
al8056(プロフ) - 今思ったんですけど上限ではなく上弦ですよ (2020年11月10日 21時) (レス) id: 6b4ec52995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月25日 11時