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*累side



菜愛の手を僕は取った。
それから本当の弟に会った。

でも彼も僕を受け入れてくれた。
僕は鬼なのに、2人は僕を"弟"だと言ってくれた。

本当に神様はいるのかもしれないね。
もう1度、望んではいけないモノをくれたのだから。

だから_______ありがとう。




______________
_______




僕は姉さんと暮らすことになったけど、
姉さんの屋敷は酷く寂しかった。

家族は疎か、女中の一人もいない。
ただ、そこには1人分の生活品があるだけ。

ココにはただ姉さんが1人、いるだけだ。






扉を叩く音がして、姉さんは僕を奥に隠した。
多分鬼殺隊。僕のことがバレれば僕は死ぬ。

奥の部屋で部屋に張りつめた糸を伝って音を聞く。

ドタバタと忙しない姉さんの足音。
苦しそうに息をする少年。
浅い呼吸を繰り返す成人男性。
シュルシュルと巻き付く蛇の音。

たぶん負傷者がここに来たんだろう。
僕も姉さんの手伝いがしたい。





そう思ったら身体が動いていた。

姉さんのいない成人男性の方へ行き、
手ぬぐいを濡らし汗を拭き取る。

同時に僕は罪の意識に苛まれた。
この傷は僕と同じ鬼が付けたもの。

僕達が…僕が今まで誰かに付けていたもの。



数刻してぼんやりとその鳶色の瞳が開いた。





「んぅ…き、みは………な、んで……鬼が…」


累「僕は"産屋敷累"。今日、家族になった」


「お、館様と…菜愛…と同じ、、姓…」


累「うん。(コレ)、ごめんね」


「…付けた、のは……ハァ……君じゃ、ない」


累「でも、僕も鬼だよ」


「クス))……俺、は……乱獅子、、楼夏。よろしく」






楼夏は微笑見ながら眠りについた。
僕はそれを死んでしまったんだと勘違いした。

楼夏の寝顔を見ながら手拭いを変え続けた。

スっと襖が空いて少し疲れている姉さんが来た。




僕を見るなり少し焦って言う。





『ちょっ?!累さん?!なにしてん?!』


累「看病」


『そんな当たり前のように……』


累「ごめん、だって苦しそうだった、、」


『……』




そう言うと何か複雑な。
少し悲しみを込めた目でフワリと笑った。





『__そうだな。ありがとう、累』


楼夏「俺からもありがとう。鬼の累」




いつの間にかしっかりと意識を戻していた
鳶色の目は太陽のように優しかった。

鬼になって初めて、僕は心の底から嬉しくて笑えた。

例えばコレが蜘蛛の糸のように弱く脆い
一瞬の泡夢だとしても、、まだ縋っていたい。

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伊織(元三日月)(プロフ) - 0× の所が無一郎が霞柱と隠のところにいますよ。これからも頑張って下さい (2020年12月2日 2時) (レス) id: 73bdd1a7af (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!たぶん治ったと思うのですが、まだ「上限」となっていたら教えていただけると嬉しいです! (2020年11月12日 21時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
al8056(プロフ) - 今思ったんですけど上限ではなく上弦ですよ (2020年11月10日 21時) (レス) id: 6b4ec52995 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月25日 11時

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