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*菜愛side
『__今日からここが累の帰る家だ』
累「お邪魔します」
『じゃなくて?』
累「たっただいま!!((パァァ」
しのぶが泣いて寝てしまった後、
カナヲにしのぶを預け、私たちは帰宅した。
累は定期的にその血液を貰うこととなった。
食事も少しずつ藤の毒を混ぜ、
鬼を喰う量を減らしていく。
今はそれくらいしか手立てがないから。
__トントンっと、扉を叩く音がした。
この屋敷にこの時間帯に来るのは鬼殺隊士。
それも柱か甲だろう。
私はバレて殺されないよう、
累を奥にやり、扉を開けた。
そこには血濡れ、片腕の無くなった楼夏と、
口元が裂かれ、包帯をまく少年がいた。
『っ、楼夏、早く治療を!!!!』
楼夏「うん。お願い」
この際、累は私が守る。
それよりも今は目の前の命だ。
酷く重症な楼夏を治療し、
口裂けの少年も治療して寝かせた。
可哀想に。これは跡が残ってしまうな。
栄養失調な細い身体に巻き付く蛇が威嚇する。
『……何もせんよ。その子は何が食える?』
「__シュルシュル」
『そうか。とろろ昆布が好きか。名はなんという?』
「__シュルシュル」
『お前が鏑丸で、こっちが伊黒小芭内、か。
あぁ、私は菜愛。産屋敷菜愛だ。よろしくな』
「シュルシュル」
それが鏑丸にとって有効な証なのか、
小芭内の首元を離れ、私に巻きついてきた。
そして細い下でチロチロと私を舐める。
『はは、くすぐったいな。
さて、楼夏の様子を見に行こう。来るか?』
そう言うと鏑丸は小芭内の元へ帰った。
彼の目が覚めるまでは彼のそばにいるそうだ。
振られてしまったな、
と1人で笑いながら隣の部屋の襖を開ける。
そこには意識のない楼夏を看病する累がいた。
ん?累?
『ちょっ?!累さん?!なにしてん?!』
累「看病」
『そんな当たり前のように……』
累「ごめん、だって苦しそうだった、、」
『……』
__あぁ、やっぱり累は人だ。
鬼であっても。
あのような偽りの家族を作っていても。
ちゃんと暖かい心を持っていたんだ。
否、きっと忘れていただけなんだ。
ちゃんと相手を尊重できる心を。
相手を思いやる心を持っている。
この状況で不謹慎にも私は嬉しくて頬が緩んだ。
『__そうだな。ありがとう、累』
楼夏「俺からもありがとう。鬼の累」
そこには仲間に向ける笑みを浮かべる楼夏がいた。
楼夏も認めてくれた。
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伊織(元三日月)(プロフ) - 0× の所が無一郎が霞柱と隠のところにいますよ。これからも頑張って下さい (2020年12月2日 2時) (レス) id: 73bdd1a7af (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!たぶん治ったと思うのですが、まだ「上限」となっていたら教えていただけると嬉しいです! (2020年11月12日 21時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
al8056(プロフ) - 今思ったんですけど上限ではなく上弦ですよ (2020年11月10日 21時) (レス) id: 6b4ec52995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月25日 11時