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*菜愛side
光明が死んだ__。
その報せはすぐに届いた。
上弦ノ壱に殺されたそうだ。
また1人、また1人と私を残していく。
そして今宵、最終戦別。
錆兎、真菰、義勇が私の元から旅立つ。
『__必ず、帰ってこい。これは上司命令だ』
錆/真/義「「「はい」」」
しの「(光明様が亡くなられたのがだいぶキテますね。憔悴しきっています)」
__頼むから。もう私を置いていかないで。
声にならない言葉が私の頭を埋め尽くす。
……そして、7日後。
不幸とは重なりに重なるもの。
私の元に錆兎と真菰は帰って来なかった。
そして、更に1ヶ月後。
カナエが上弦ノ弐との激闘の末、亡くなった。
『……ど、して____』
畦道に斑点を作りながらフラフラと歩く。
笑えないよ、三日月。青江。数珠丸。
こんなことってないよ__どうしてあの子たちが…。
『ねぇ、なんでよ__』
誰でもいい。答えてよ。
もし。もしも過去を変えられたら_______。
「それはダメだぞ」
顔を上げた先に見えたのはあの日、
助けを求めたその優しくて危険な微笑み。
長い袖で口元を隠すその仕草は貴族のようだ。
『………三日、月____』
宗近「お主はいつも泣いておるなぁ。
ほれ、じじいの膝なら空いているぞ。おいで」
てしてし、と膝を叩いてそこに乗るように催促する。
誰でもいい。
ただ、誰かの温もりを感じながら泣き喚きたい。
立場も何もかも忘れてただただ泣きじゃくりたい。
子供のように。ただ、子供のように。
『っ……うぅ……グズッ……くっそぉ…』
残していくなよ。
三十路近いババアを残していくなよ。
なぁ?私の老後、誰が世話してくれんのさ。
なんで置いて行くんだよ、1人に、1人にしないでよ。
『ばがぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"』
分かってる。
昨日まで笑っていたその笑顔が、その温もりが。
次の日にはもうないことなどよくある世界だ。
私たちがその世界を選んだことぐらい分かってる。
自分で選んだくせに無責任なことぐらい分かってる。
わかっているけど、さ。
それでもやっぱり望んでしまうんだよ。
大切な者と、心の底から笑い合う未来を。
笑いたかったんだよ_______。
『__三日月。君は置いていかないで…』
宗近「はっはっは、いつだって俺は残される側だ。
お主こそ、置いていくなよ」
私の声は酷く弱々しかった。
三日づ…宗近の声も酷く弱々しかった。
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伊織(元三日月)(プロフ) - 0× の所が無一郎が霞柱と隠のところにいますよ。これからも頑張って下さい (2020年12月2日 2時) (レス) id: 73bdd1a7af (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!たぶん治ったと思うのですが、まだ「上限」となっていたら教えていただけると嬉しいです! (2020年11月12日 21時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
al8056(プロフ) - 今思ったんですけど上限ではなく上弦ですよ (2020年11月10日 21時) (レス) id: 6b4ec52995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月25日 11時