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*菜愛side
初稽古の日から数ヶ月が経った。
しのぶは私の目論見通り、
「蟲の呼吸」を身につけた。
それとほぼ同時にカナエは花柱に昇格し、
私の隣で剣を振るっている。
修行期間中の数ヶ月、
医療施設であった藤柱邸の主・藤壺双葉は上弦ノ弐との決闘の末、亡くなった。
その為、元藤柱邸をカナエが引き継ぎ、今は花柱邸として、同時に医療施設として働いている。
……そんなある日のこと。
『__ん?毒を作りたい?』
なんてことを言い出すんだ、と思った。
時は数刻前に遡る。
しの「お師匠様。お話があります」
『ん?なんだ改まって…』
その険悪な雰囲気に「何やらかしたっけ」と、
頭の中の記憶を遡る。
最近は鬼殺が忙しく、
非番の日以外まともな日がない。
記憶を手繰り寄せれば、心当たりしかなく、
逆にどれか分からない。
しの「私はやはり、鬼の頸が斬れないのです。
だから、鬼を殺す決定打に欠けます」
『……』
しの「思いついたのです。
鬼の頸を斬らずとも鬼を殺す方法を」
『……へぇ?それはどんな?』
ギラリ、蝶の複眼が妖しく光る。
同時にうさぎの目も赤く光る。
__頸を斬らずとも鬼を殺す方法……か。
そんなの考えたこともなかった。
まだ見ぬそれに興味が唆られる。
しの「鬼を殺す"毒"を作りましょう」
『__ん?毒を作りたい?』
そして今に戻る。
カナエが花柱に就任し、花柱邸で医者として働くようになってからずっと考えていたのだという。
私の元で修行を終え、1人前の鬼殺隊士となって、
姉と共に鬼殺を行い、また、医者として働きたいと。
だから、医学に精通する本を読んでいた、と。
そのとある本の一説にはこう書いてあった。
__毒は時として薬となり、
薬は時として毒になる____と。
それで閃いたらしい。
どれだけ肉体を鍛えた強い人だって、
私たちのような戦いに優れた人だって、
ほんのミリ程度の毒を取り込めば死に至るのだ。
ならばそれは鬼にも通ずるのではないか、と。
『なるほど。して、なんの毒だと思う?』
しの「藤の花の毒です。鬼は藤を嫌うので」
『ニヤリ))、確かに。よし、毒作りを許可する。
ただ、私も手伝う。そして細心の注意を払えよ』
しの「ニヤ))はい。ありがとうございます」
そして、私の屋敷の角部屋。
少し手狭だが、良く日の当たる南の部屋で、
二人三脚の「毒開発」は始まった。
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伊織(元三日月)(プロフ) - 0× の所が無一郎が霞柱と隠のところにいますよ。これからも頑張って下さい (2020年12月2日 2時) (レス) id: 73bdd1a7af (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!たぶん治ったと思うのですが、まだ「上限」となっていたら教えていただけると嬉しいです! (2020年11月12日 21時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
al8056(プロフ) - 今思ったんですけど上限ではなく上弦ですよ (2020年11月10日 21時) (レス) id: 6b4ec52995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月25日 11時