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*菜愛side
さぁ、答え合わせと応用の時間だ。
『しのぶ。まずお前は勘違いをしている』
しの「……勘、違い?」
『お前は呼吸をまだ見つけていないだけだ』
しの「……え?」
そう。しのぶは呼吸の基礎はできている。
技がないだけだ。
『しのぶ。お前は全集中を使える。否、使っている』
カエ「しのぶが、、呼吸を?」
『そう。まだ自分に合った呼吸がないだけだ』
しの「…私は戦えますか?」
『無論。私も一緒に見つけてやるさ』
だからもう自分を責めないでくれ。
そんな何も感じない目をしないでくれ。
しの「……捨て、ませんか?」
『…ふっ、はっはっはっはっは!!!!!!!!!!』
あぁ、おかしい。
『"捨てる?"お前たちをか?こんな有能な剣士を育てられるとは師匠冥利に尽きるな。
今までそういったことがあったのだろうが、
気にするな。嘲笑え。お前たちを捨てたヤツらを。
お前たちの力を引き出せなかった愚図だ。
所詮そいつらはその程度だったのだろう』
__あぁ。私は怒っているのか。
昔の私を見ているんだ。
つらくて、誰かに見て欲しかった私を。
そんな昔の私のように彼女らを蔑ろにした塵に。
『お前たちは私の自慢の姉妹で家族だ。
ちゃんと育ててやるから安心しろ。
胸を張れ。いつか肩を並べて戦おう。
さぁ、昼餉を食べよう。腹が減ってはなんとやらだ』
泣いている彼女らを後目に道場を後にした。
今はそっとしておくのがいい。
この時2つ。私には思い浮かんでいた。
しのぶに合う呼吸を。
__それは「蟲」と「蝶」
しのぶはカナエと違い、力を持たない。
その代わりに"突き"と"スピード"は誰よりもある。
その突きはまるで蜜腺を射抜く蝶のようだった。
そして軽やかに動く身体使いも蝶のようだった。
さぁ、しのぶ。
君は蝶か?それともまだ見ぬ蟲か?
その有能な卵。
私が羽化してしんぜよう。
そしていつの日か飛び立っていきな。
私の元から。それまでは守ってあげるから。
私はさっさと作った昼餉を居間に持って行った。
いつまでたっても居間に来ない2人を迎えに行けば、
彼女たちは小さな体を寄せ合いながら
泣き疲れて眠っていた。
『ふっ、可愛いものだな』
先程まで刀を持ち、
鋭い太刀を振ってきた子とは思えないその姿。
願わくば、こんな小さな子らが幸せに笑うだけの世界になってはくれまいか。
そう願いながら隣で私も眠りについた。
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伊織(元三日月)(プロフ) - 0× の所が無一郎が霞柱と隠のところにいますよ。これからも頑張って下さい (2020年12月2日 2時) (レス) id: 73bdd1a7af (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ご指摘ありがとうございます!たぶん治ったと思うのですが、まだ「上限」となっていたら教えていただけると嬉しいです! (2020年11月12日 21時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
al8056(プロフ) - 今思ったんですけど上限ではなく上弦ですよ (2020年11月10日 21時) (レス) id: 6b4ec52995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月25日 11時