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*一期一振side
浮世「それとも__亡くなった兄弟の影を持つかな子が傷つくんのが嫌なんか?」
_______!!!!
図星だった。
そう、私はもう嫌だったのだ。
目の前で弟が消えゆくのが。
何も守れず、人間に縛られる事しか出来ない自分が。
同時に悔しくもあった。
あの日の晩、鬼に襲われた弟を救ったのは恨んでいた人間だったから。
叔父上殿を、重症の薬研を助けてくれたのが人間だったから。
なぜ私には弟を、、家族を守る力がないのだ。
なぜあのような幼子にあって私には無いのだ、と。
生き地獄の中で彼女の話をする時だけ、
弟達の目は生き生きといていた。
だったら縛ってしまえばいいと思った。
弟達の笑顔を守るためなら闇にでも堕ちてやると。
そう思って好きでもない気味の悪い小娘に笑いかけ、石切丸殿に協力してもらい神隠しをした。
でもそれもすぐに後悔した。
神は人の信仰の上に成り立つ創造物でしかない。
特に私たち付喪神はなおその影響を受けやすい。
つまり、私たちの神域に人間が入り込めば、
その人間の心の影響を受けやすい。
彼女に影響された石切丸殿の神域は心地よかった。
四季関係なく花々が個を主張して咲き誇り、
空気は澄み、涼やかな波の音が聴こえる。
それは彼女の心が清い…清すぎる証拠だった。
弟を守りたい…だから神隠しをしたのに、
でも何時しか、彼女を守りたい…そう思ってもいた。
一期「無論、彼女も守りたい。私の手で。今度こそ」
浮世「悪いやけど、そら聞けへん望みどすえ」
一期「ならば奪うまでだ。あの方は我が主殿だ!!!!」
浮世「ぬかせ、餓鬼が!!!!」
スルリと、抜刀した。
私は負けない、弟の為にも。我が主殿の為にも。
一期「一期一振、参る!!お覚悟!!!!」
浮世「来る小鳥は一期一振、かな。
我、天を穿つ刃・浮世ノ無月。推して参る」
刀の種類でいえば勝負は勝ち戦だった。
しかし、私は防戦一方。彼女は強すぎた。
浮世「我が一振は神をも殺す怒槌の鉄槌である!!!!」
一期「あぁ…世界が、燃えている……還るんだな…、あの、炎の中へ…」
現世「えぇ、帰りましょう。いつか
浮世「チィ。今はまだ、うちん主や。いつか迎えに来はる。それまで待ちよし。ええな?」
__いつか、いつか本当に迎えに来てくれるのだろうか。
これだけのことをしておいて、、私は。
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優夜 - 楽しかったです (2021年12月27日 20時) (レス) @page50 id: 8c35d92784 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 設定のイラストってアプリでやりましたか?それともご自身でお書きになりましたか?もしアプリでしたら、アプリ名を教えて頂きたいです。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 803e1c5f4f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!過去最高58位なんてとってもうれしいです! (2020年11月4日 8時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
いぐろ - この作品スゴク面白い! (2020年11月3日 7時) (レス) id: abcdb48192 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!とっても嬉しです (2020年10月19日 22時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月1日 13時