番外編『断罪・参』 ページ40
*菜愛side
秋の満月、十六夜の紅葉が音を立てる。
私は独り、風になびく紅葉を眺めていた。
『……』
「なんや、えらい辛気臭い子やな」
『……どうも』
私の背に立って同じように紅葉を見上げている男性。
最近、人外との出会いが多いようで困った。
彼からは"人の音"がしない。
チラリ、月明かりに反射されて光るメガネの間から除く琥珀の瞳はどこか憂いを帯びていた。
「こないなとこで1人なんて、神隠しでもされてまいますよ?」
『…確かに。でもまぁ、1人になりたい時くらいあるでしょう?』
「せやなぁ、あっ自分、明石国行言います。どうぞよろしゅう」
『…月k((_国行「そこはちゃんと名乗りましょ?」
__!!!!真名じゃないと知って。
国行「聞ぃてくれます?自分の話」
『…え?、あ、はい』
国行「自分には"蛍丸"と"愛染"っちゅー家族がおるんやけどな、2人ともおらんくなってもたんや」
『……』
国行「大切なもん亡くして、自分、どやって生きてけばええと思います?」
『…私も大切な人を亡くしました』
それは斗輝屋様と生織様。私の恩人。
命に代えても守りたかった人。
『…どんなことが糧でもいいんです。それこそ怒りや憎しみでも。それでも命は2度と戻ることは無い』
国行「そやなぁ」
『…失っても失っても"死"を選ばない限り、この世界には"生"しか残されていないんです』
国行「……」
『…私は生きますよ、この世界に生まれてきたのは皆、幸せになるためなのですから、ね?』
国行「…はは、そか。そか。幸せになるためかぁ。
自分、幸せになってええんやろか?」
__あぁ、この人。
眞寿郎さんと留火さんに会う前の私だ。
泣き出しそうたほど溜め込んでいるのにも関わらず、
それを良しとせず、歪に口が三日月を描く。
私より何倍も大きな身体を包み込んだ。
『泣いていいと思いますよ。また明日、笑えるなら』
すると彼は小さく嗚咽を漏らしながら泣き始めた。
彼は、ここにいるのが私じゃなくても誰でもよかったんだと思う。
ここにいる人にただ話を聞いて慰めて欲しかっただけなのだと思う。
私はただ彼の背に腕を回し、彼が泣き止むまでそばに居続けた。
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明石国行の言葉って難しいですね。
読んでいておかしいなって思ったり、
不快になられたらごめんなさい。
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優夜 - 楽しかったです (2021年12月27日 20時) (レス) @page50 id: 8c35d92784 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 設定のイラストってアプリでやりましたか?それともご自身でお書きになりましたか?もしアプリでしたら、アプリ名を教えて頂きたいです。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 803e1c5f4f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!過去最高58位なんてとってもうれしいです! (2020年11月4日 8時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
いぐろ - この作品スゴク面白い! (2020年11月3日 7時) (レス) id: abcdb48192 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!とっても嬉しです (2020年10月19日 22時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月1日 13時