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*菜愛side
それから時は4年をすぎた。
左近次さんは鬼殺隊を退役し、
"育手"として新たな人生を歩み始めた。
耀哉「久しぶりだね、姉さん」
『…ゆっくり時間を取れるようになったのは4年ぶりかな。1人にして悪かったね』
耀哉「ううん、いいんだ。姉さんが鬼殺隊に入ってから鬼の被害率は10%近くも下がったんだよ」
『…それは"鬼殺隊当主"としての言葉だろう?私が謝っているのは"愛しい弟"に対してだよ』
耀哉「っ…はは、姉さんには敵わないね。とっても寂しかったし、辛かったよ」
『うん、』
私が鬼殺隊となって4年、耀哉と疎遠(?)となって4年、長いようで短い。されど長い4年。
耀哉はポツポツとその4年間のことを話し始めた。
まだ呪いので始めていない優しいな顔は段々と暗く歪んでいった。
語られたのは"分家からの扱い"。
耀哉が優秀だということが、
本家の血筋であるということが、
私腹を肥やしたい分家、権力を握りたい分家にとって耀哉は邪魔となる存在なのだ。
私にはバレないよう、影で巧妙に隠し、騙し、チクチクといやらしく虐げてきたらしい。
『…うん、うん、話してくれてありがとう。
よく頑張ったね、耀哉』
__私は言ったはずだよ、耀哉に手を出すなら兎が黙ってはいないと。私を怒らせたのは貴様らだ。
耀哉「っ、ご…めんな、さっ……私っ、私は、……」
『…謝らないでおくれ、そうだ。餡蜜を買ってきたんだ。甘い物、好きだろう?ほら、泣き止んで食べよ』
耀哉「っ、う"ん…う"ん、あ"りがと"う」
『…どういたしまして』
その後、しばらく耀哉は声を上げて泣いた。
私と同じくらい、否、私よりも小さかった背中がいつの間には少し私よりも大きくなっていた。
私は耀哉のそばにいると言ったのに、
耀哉を守ると誓ったのに。
それをいとも簡単に破ってしまった自分が
誠、腹立たしかった。
______________
_______
耀哉「お嫁さんに迎え入れたい人がいるんだ」
泣き止んだ耀哉と藤の咲き誇る庭の縁側に腰を掛けながら餡蜜を食べる。
最中、突然、耀哉が話を切り出した。
『…へっへぇ。どんな人なの?』
焦ってお茶を吹き出さなかったことを褒めて欲しい←
耀哉「元から縁談の話は来ていたんだ。でも、やっぱり姉さんにも関わって欲しくてね」
耀哉はどこか遠くを見つめながら言った。
耀哉「…あまりにも美しいので初めは白樺の精かと思ったんだ」
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優夜 - 楽しかったです (2021年12月27日 20時) (レス) @page50 id: 8c35d92784 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 設定のイラストってアプリでやりましたか?それともご自身でお書きになりましたか?もしアプリでしたら、アプリ名を教えて頂きたいです。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 803e1c5f4f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!過去最高58位なんてとってもうれしいです! (2020年11月4日 8時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
いぐろ - この作品スゴク面白い! (2020年11月3日 7時) (レス) id: abcdb48192 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!とっても嬉しです (2020年10月19日 22時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月1日 13時