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*菜愛side
私は確かに女だが、これでも1人の"武士"なのだ。刀を持つことを嘲笑・同情されては不愉快である。
『……もうお喋りはいいだろう、とっととくたばれゴミ野郎』
童磨「う〜ん、さっきは嫌いって言ってごめんねぇ。やっぱり訂正!!!!俺、君のことが気に入っちゃった♡」
身体に粘り着くような、まとわりつくような甘い声が蛇のように絡まりつく。
私のことを嫌いだ、と豪語した時とは違い、華麗な手のひら返しをしてくる。
心做しか表情はうっとりとしていた。
初めてみる表情に本来なら歓喜するべきかもしれないが、私はどうしても気味が悪いと思ってしまった。
『ボソッ))……気味の悪い』
童磨「クスクスクス))…いやぁごめんねぇ、もう少し遊びたかったんだけどもう時間みたいだよ」
『……は?』
童磨「また会おうね、桜兎ちゃん♡」
__ベベンッ、と琵琶の音が響いた。
刹那、目の前のニタニタした顔は忽然と姿を消していたら、残された私たちはただただ唖然とする他なかった。
*****
「なぁ、月奏のお嬢」
『……?。なんでしょうか。(お嬢?)』
馴れないな呼び方をしてきたのは薬研様だった。
私を真っ直ぐと射抜く薄紫の瞳は輝きを増す。
見透かされているようなその目が怖かった。
薬研「お嬢は噂の"鬼殺隊"とやらか?」
『……噂かは分かりませんが鬼殺隊ですね』
薬研「……ケガはねぇか?」
『……えぇ、大丈夫です。
ご心配ありがとうございまッ?!』
右手を力強く握られた。
何故か、ジンジンとした痛みが走る。
その華奢な体型からは想像もつかない力だ。
鳴狐「……やっぱり」
薬研「やっぱケガしてんじゃねぇか」
『……気づきませんでした、ほっとけば治ります。
皆さんはおケガ、ありませんか?』
宗三「僕達はありませんが、あなたは女性でしょう。もっと身体に気をつけなさいな」
『ピク))……どれだけケガをしようが鬼狩りができるのならそれは無傷だ。気遣いは感謝しますが、放っておいてください』
_______分かっている。
宗三左文字様は私の身体を気遣ってくださったことぐらい。
それでも童磨戦の後に"女だから"という言葉に私は過剰に反応してしまった。
結果、掴まれていた右腕を強引に払い除け、私はその場をあとにした。
収まらない怒りは、近くにいた鬼を殺しに殺したことでようやく収まった。
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優夜 - 楽しかったです (2021年12月27日 20時) (レス) @page50 id: 8c35d92784 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 設定のイラストってアプリでやりましたか?それともご自身でお書きになりましたか?もしアプリでしたら、アプリ名を教えて頂きたいです。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 803e1c5f4f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!過去最高58位なんてとってもうれしいです! (2020年11月4日 8時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
いぐろ - この作品スゴク面白い! (2020年11月3日 7時) (レス) id: abcdb48192 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!とっても嬉しです (2020年10月19日 22時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月1日 13時