神憑きの鬼殺隊･壱

34+ ページ34

＊菜愛side





童磨「あはははは、君すごいね!!!!ホントすごいよ!!!!俺相手にここまで無傷な人間は初めてだよ!!!!」


『……ﾁｯ、そりゃどうもね』


童磨「よく頑張るね!!!!偉い!!!!偉いよ!!!! 俺は感動したよ!!!!こんな弱い少女がここまでやれるなんてね!!!!」








＿＿ひょっとせずとも、私はこいつが"大"嫌いだ。

この人を全て見下したかのような物言い。
「私に殺されないだろう」という100%の自信。

嫌いだ＿＿嫌いだ、嫌いだ、嫌いだ!!!!






『ｯｯ……大嫌いだぁ!!!!』






言葉のキャッチボールはできていないだろう。

それでも"嫌いだ"と言いたかった。

認めたくなかった、"少女だから"とか"弱い"とか。
自分でわかっていることを相手に言われることは、誠腹立たしい。

額に青筋を浮かべながら童磨を睨みつける。
でもアイツはそんなこと、意にも返さない。







童磨「君、昔に何か遭っただろう？病気かな？そのせいでいつも声がワンテンポ遅れているよね!!!!」


『……だったらどうした、』








＿＿＿＿やめろ。

頭の中で「これ以上踏み込むな」、と警戒音がなる。

私にとって"奴婢であったこと"、そして"親"という言葉は地雷なのだ。

度重なる親からの虐げの一環で声帯を傷つけられた。
今はほとんど回復しているものの、やはり普通の人に比べたら声が出にくい。









童磨「やっぱりこんな無駄なこと(･････)やめないかい？俺と一緒に永遠を生きようよ、俺は優しいから。これ以上君を放っておけないよ」


『……ねぇ、"優しい人"って、"いい人"って一体何？どんな基準があるの？』






……






童磨「え？」


『……私さ、優しい人もいい人もこの世界にはいないと思うんだよね』


童磨「……」


『……いい人？悪い人？それってその人の都合だろ？
その人にとって都合が良ければいい人。
その人にとって都合が悪ければ悪い人。
私にとって君は優しい人でもいい人でもないんだよ』


童磨「……なるほど、やっぱり君は悲しいね」


『……同情されるのは嫌いなんだ。こんな錆びた色のない世界で私は永遠なんて死んでもゴメンだね』


童磨「…そっか。そっかぁ」






童磨は目に涙を浮かべた。
でもやはりその涙は薄汚く、汚いものに見えた。

言うならば嘘泣き。そして私への同情(嘲笑)。
それは心が軽くなるものではなく、逆に火に油を注ぐものだった。

35+→←33+

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す