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*三日月宗近side
目の前に紅玉の瞳に露を溜める
触れてしまえばすぐにとけてしまいそうで、
触れることを躊躇った。
撫でようとして辞めた
行き場のない手を後ろ手に隠す。
宗近「そうか。菜愛よ、泣くな。泣いても誰も助けてはくれんぞ。己の手で全てを掴み取れ」
どれだけ助けを求めても、泣き叫んでも、審神者は…人間は俺たちを嘲笑った。
何度も何度も鋭く、裂けるような痛みが身体を蝕む。
俺たちは何度も何度も記憶を継いで嬲られ続ける。
__【ごめんね、蘇らせるからっ…また会おうね】
俺は…否、俺たちは選んでしまったのだ。
また主に会いたい。__その想いが、
瞬きするほどに刹那の時間を生きる
何千年という時を生きる俺たち付喪神。
同じ時間、同じ想いを共有するのは一瞬であった。
初代が亡くなって、約束は呪いとなった。
どれだけ逃げたくても逃げられない悲しみの連鎖。
審神者は俺たちをただの道具とした。
宗近「そうじゃ。死者は戻っては来んぞ。人は儚く脆く、汚い。だからこそ美しいのだ」
__【宗近っ!!】
死者に縛られるのは俺たちだけでいい。
お主は、清いお主はまだ前へ進むべきじゃ。
『何故貴方はそんなにも悲しい目をするの?』
宗近「クス))聡い娘よ。さぁ、立つのだ。笑え。笑っていられるやつが1番強いのだ」
『……う"ん』
__【何故主はいつも笑っているのだ?】
__【ふっふーん!!世界は笑ってるやつが1番強いのだ!!】
宗近「まぁ、形あるものはいつか壊れる。
おぬしの愛する人もそうだったのであろう」
__【…ごめんね。…ずっと一緒にいだがっだ…】
『……だから…ッッ…美しいんでしょ?((ニカッ』
宗近「クス))そうだな。今度は守れるといいな」
本当に清い娘よ。
俺のような者の言葉を慕うとは。
この娘を見ると初代を思い出す。
自己嫌悪、試行錯誤。遠回りしながらも人の為に動く子兎のようなやつだった。
__面白い者を見つけた。
この色のないつまらなく、苦しい世界で見出した一縷の光。俺を楽しませておくれよ、__菜愛。
俺は菜愛にマーキング(式神)を残し、狂った本丸へ歩を進めた。
皆には教えてやらん。
1000年生きてきて俺は初めて“独占欲”というものが湧いた。
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優夜 - 楽しかったです (2021年12月27日 20時) (レス) @page50 id: 8c35d92784 (このIDを非表示/違反報告)
柊 琥珀(プロフ) - 設定のイラストってアプリでやりましたか?それともご自身でお書きになりましたか?もしアプリでしたら、アプリ名を教えて頂きたいです。 (2021年4月5日 13時) (レス) id: 803e1c5f4f (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!過去最高58位なんてとってもうれしいです! (2020年11月4日 8時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
いぐろ - この作品スゴク面白い! (2020年11月3日 7時) (レス) id: abcdb48192 (このIDを非表示/違反報告)
彼岸(プロフ) - ありがとうございます!とっても嬉しです (2020年10月19日 22時) (レス) id: 1bd9e22ba3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サエル=クレメンス | 作成日時:2020年10月1日 13時