神憑きの鬼殺隊・終

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＊菜愛side





私は涙を呑んであの人に別さよならを告げた。

いや、さよならじゃない。
「またいつか」という約束を交わした。






月満「良かったの？戦線離脱する手もあったのよ。
貴女が居なくたって…」


『私が居なくても代わりの誰かがいる(・・・・・・・・・)、か。
悪いがそれじゃあダメなんだ』







たった30年間を生きてきた。

代わりの誰か…いるんだろうそれは。
でもあの鬼を殺すのは私の役目でそれは譲れない。

30年間。最も長く生き残った鬼殺隊士として
散々打ちのめされて痛感したことだ。

果報は寝ていても来ない。
自分の手で切り開いて自分の手で掴むしかない。

何かに縋ってもなんにもならない。
それほどまでにこの世界の秩序は残酷なんだ。








ありがとう。姉さん／『_______は』







ほら。やっぱり残酷な世界だ。

森の奥、生まれ育ったそこは
大きな爆音と共に赤い光に包まれた。

ただただ宵闇の黒に赤が映えた。
飛び散る火の粉を隣に涙も出なかった。







『あぁ。…成程』






初めて理解した。
にちか達のあの突き放しは芝居だったんだ。

余命幾許もない耀哉は己を囮としたんだ。
刃を握ることなくして耀哉は無惨と戦ったんだ。

耀哉を囮とすること。私が許すはずないもんね。
だから…私が悲しまないよう突き放したんだよね。







『は…はは……あはは……馬鹿野郎』






膝から崩れ落ちた。
大量の爆薬。血と肉の焼ける惨い音。

ダメだ…立て。嘆き悲しむ時間はない。
贖罪なら鬼舞辻無惨の首を持っていこう。

お前の首を手土産に愛する耀哉の元へ還ろう。







『……安らかに眠れ、耀哉』






こちらこそありがとう耀哉。
私の弟になってくれて。私を姉と認めてくれて。







珠世「悲鳴嶼さん!!!!お願いします」


行冥「南無阿弥陀仏!!」／『炎炎ノ花火』







行冥の武器＿棘付きの鉄球に炎を纏わせた。
そして耀哉を飲み込んだ炎さえも纏った鉄球。

勢い良く鬼舞辻無惨の頸を飛ばしたが、
やはりこの男はこれだけで殺すことは叶わず。







『(今なら見える)』






鬼の体作りは基本的に人と同じだ。
鬼の頸を斬れば死ぬのは全ての機能の絶縁。

虫なんかでも心臓を潰しても生きているものはいる。
つまり、日の光か脳を全て破壊すればいいだけだ。






『鬼舞辻ィィィィィィ』






鳳凰を呼び起こした責任は取れよ。
お前だけは地獄送りにしても気が済まない。

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