彼女は臆病者の名前を呼んだ ページ4
.
Aは力なく崩れ落ちた
記憶をなくしたときと同じように、ぐったりと
「…………ごめん、ごめんな………」
ゆっくりと両腕で支え持つ
ちょうど隊室前で会った太刀川さんに病院に送りたいと話すと、忍田さんが車をまわしてくれた
「……あの、俺……」
「行けない、なんて言うなよ。
早く乗れ、ほら」
無理やり押し込められ、俺は車の中に入る
隣にはAがいた
「お前らに何があったかは知らないけどな、
目が覚めたとき、きっとこいつはお前と会いたがる。
だから逃げんなよ」
‘‘逃げるな”
ああ、柚宇さんにも言われたな
そんなに俺、逃げてたのか
ああ…
「情けねぇ…」
唇に触れる
まだ少し熱が残っている
「………俺の方こそ、ありがとな…」
俺の声はきっと届かない
それでも、言いたくて、伝えたくて
こいつが目を覚ましたら、今までよりもっと愛してやろう、なんて心に決めた
_______________________________
「……太刀川さん、あの」
痛い。と言う彼女は、俺たちの知るAだった
特に異常はない、と医師に告げられ
ベッドに横たわること30分
目を覚ましたAに驚いて太刀川さんは肩を揺らした
「記憶は!!!
戻ったのか!?」
「いやだから一旦落ち着いてください」
お、おう、と太刀川さんは手を引く
ちらり、とAは俺を見た
「戻りましたよ、そりゃもう全部
それより喉乾きました。太刀川さん、飲み物飲みたいです」
「お、おう…?
買ってくるわ」
太刀川さんがいなくなり、病室は静けさを増す
「ねえ、公平」
そんな中、彼女は俺の名前を呼んだ
「ん」
俺は近くによる
「………好き」
手を握られ、まっすぐ見つめられる
「おう、俺も」
もう2度と、目は逸らさないと決めた
「なぁ、キスしていい?」
「ん、いーよ」
最初は、触れるだけだった
心の中でいろんな感情が渦巻いて
そんな気持ちを掻き消すように、
何度も角度を変えてキスをする
「ンｯ………」
お互いに小さく声を漏らしながら、求めあいながら唇に触れる
「…っ」
ベッドが軋む音
息遣い
鼓動
小さく漏れる声
何も考えられなくなって、
俺はただひたすらに口を塞いだ
「………公平、」
太刀川さんが来る、とAに言われるまでずっと
俺たちは抱きしめあっていた
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おむ(プロフ) - 二宮さん» 読んでくださりありがとうございます^_^ そう言っていただけてとても嬉しいです！書いてよかったなあと、心から思います！本当にありがとうございました！ (2019年12月25日 23時) (
レス) id: 40b62768f7 (このIDを非表示/違反報告)
二宮 - 完結お疲れ様です！ゆっくり見ました。とても面白かったです！ とてもいい作品でした！ (2019年11月25日 20時) (レス) id: 5c8a1b7b56 (このIDを非表示/違反報告)
藤見日和(プロフ) - 良すぎて爆死 (2016年7月17日 14時) (レス) id: 3600278a3d (このIDを非表示/違反報告)
柚 - とても良い作品に巡り会えて、感動しているのと、出水がイケメンの二つです☆*:.｡. o(≧▽≦)o .｡.:*☆ (2016年2月5日 5時) (レス) id: 98181381be (このIDを非表示/違反報告)
柚 - ヒャァァ/// (2016年2月3日 20時) (レス) id: 98181381be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おむらーす
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=mucho
作成日時：2015年11月27日 19時
