127話 青薔薇 ページ31
…エレベーターを使い、上の階に着く。
選手達が行なっている最初のトレーニングは既にゴールした者がいるようで、遠くに見える。
『(……ん?)』
あれは…潔くんと、もう1人は誰だ?
2人が何か話しているようなのだが、潔くんは酷く険しい顔をしている。
彼らの会話は遠くて聞こえなかったが、ノア選手は何かを察したのかはぁ…とため息をつき、2人の傍へと寄っていった。
「やめろ、“カイザー”
いい加減直せ、その「マウント」癖。幼稚だぞ」
カイザー。そう呼ばれた彼はこちらを振り返る。
首筋から左の手の甲にまでかけて彫られた青薔薇のタトゥー。カイザーってどこかで…
「ごめん、ノア。盛り上げようと思ってさ」
「口答えするな。ここでは俺が
『(……あ、そっか。どこかで聞いたことある名前だと思ったけど、)』
『新世代
ぽそりと呟く。
ミヒャエル・カイザー。糸師選手と同じ新世代世界11傑の1人だ。
私の呟きが聞こえたのか、カイザー選手と目が合った。
「…!」
潔くんが彼の目線に気づき、私を隠すように前に立つ。
カイザー選手は私と潔くんを交互に見る。そして小さく笑い、ズイッとこちらに近づいた。
「やぁ、初めまして。名前を聞いても?」
「は…⁉︎」
『え?えっと…荊尾Aです。一応スポーツドクター見習いです、どうも…』
にっこりと爽やかな笑顔を向けられ、握手を求められる。
うーん…?ノア選手の言っていたマウント癖、というのが分からない。
見る限り普通の好青年…だよね?
「俺はカイザー。よろしく
片手で私の右手を優しく掴み、触れるか触れないかのキスをされる。
…紳士だ。何か映画みたい。
『ど、どうも…(でも恥ずかしい…)』
「おい…!」
「何だ、世一。嫉妬か?」
「いいから離れろ…!」
『ま、まぁまぁ潔くん。そんなに怒らなくても…』
「だってコイツさっきまで…!」
『え?』
「カイザー」
「はいはい」
ノア選手に促され、彼が離れる。
「ひとまず最初のトレーニングは終わりだ。気づいているとは思うがこのルームは身体能力を測定するモノ」
パチンッと彼が指を鳴らすとゴールした順位が表示される。一位はカイザー選手だ。
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苺子(プロフ) - AYさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんストレスばかりですが、日々頑張って働いてます…((キャラの心情の変化を心がけて書いているので、そう言ってもらえるととっても嬉しいです(о´∀`о)更新頑張ります! (5月10日 19時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 夢主ちゃんの胃に穴が開きそう… 沢山休んで欲しい😭 あとだんだんと逆ハーになってて読むのがとても楽しいです!!更新頑張ってください! (2023年5月6日 14時) (レス) @page50 id: faf5f904a1 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます!あなた様の小説拝見した事があります…!そんな人からコメントを頂けて嬉しいです🥰これからも応援よろしくお願いします…! (2023年3月17日 20時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - これは玲王様静かにブチ切れ案件っすね……☺️御曹司様はお強いですね…… (2023年3月16日 20時) (レス) @page47 id: 4a8f05344b (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 乃愛さん» コメントありがとうございます!可愛らしいイラストですよね!作者も気に入ってます(*´꒳`*) (2023年3月14日 11時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺子 | 作成日時:2023年2月3日 17時