126話 英雄 ページ30
絵心さんが消えて、今度は奥の壁だと思っていた部分が開く。
ノア選手はトンッ…と舞台から降りた。
「
そこに広がるのは近未来のような電子の世界。
まだこんな施設があったのかと驚くのも束の間、國神くんが無言で私の横を通った。
「…」
『國神く、!』
肩に手を置かれ、振り返る。
そこにはノア選手がこちらを無表情で見下ろしていて、親指でドアの方を指指す。
恐らく「着いてこい」という意味だろう。私は迷ったが小さく頷き、彼と一緒に部屋を出た。
『(どうしよう…ノア選手と近い…のは嬉しいんだけど、國神くんのことが気になる。でも何か…)』
雰囲気が違った。以前のような活発とした感じもないし、表情も笑顔なんて見えなかった。
…敗者復活戦で何があったんだろう。二次選考の時も含め、彼と話し合いたいけど今すぐそれができるはずもない。
私が色々と考えていると、ノア選手がこちらを振り返った。
「
『え?あ、えーっと…
渡されたのは少しごつめのケースに入ったイヤホン。
MIKAGEと書かれたそのイヤホンを耳につける。もちろん音楽が流れているわけではない。
『(何だ…?)』
「…超性能小型同時通訳イヤホンだそうだ。開発途中らしいが、設定した言語に瞬時に変換してくれる代物だ」
『!』
ノア選手の言葉が日本語で聞こえる。すご…というか御影って玲王くんの実家だよね?さすが実業家…
「絵心からはトリリンガルと聞いているが、使うか使わないかはお前の自由でいい」
『は、はい…あ、あの、私荊尾Aって言います。よろしくお願いします…!』
うまく喋れているだろうか。彼は無表情を崩さないまま「あぁ、」と言い、再び前を向いた。
『(喋っちゃった…かっこいい…素敵な胸筋と大腿四頭筋…)』
ノア選手と國神くんの事がぶつかり、正直感情はぐちゃぐちゃ。
彼に國神くんのことを聞いても答えてくれるのだろうか。
と思考をまとめるため指をポキッと鳴らし続け、彼の背中を追いかけエレベーターに乗った。
……え、待って、ここの棟エレベーターあったの?
『(二次選考の時頑張って階段上り下りしたのに…)』
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苺子(プロフ) - AYさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんストレスばかりですが、日々頑張って働いてます…((キャラの心情の変化を心がけて書いているので、そう言ってもらえるととっても嬉しいです(о´∀`о)更新頑張ります! (5月10日 19時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
AY(プロフ) - 夢主ちゃんの胃に穴が開きそう… 沢山休んで欲しい😭 あとだんだんと逆ハーになってて読むのがとても楽しいです!!更新頑張ってください! (2023年5月6日 14時) (レス) @page50 id: faf5f904a1 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - ひかりさん» コメントありがとうございます!あなた様の小説拝見した事があります…!そんな人からコメントを頂けて嬉しいです🥰これからも応援よろしくお願いします…! (2023年3月17日 20時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ひかり(プロフ) - これは玲王様静かにブチ切れ案件っすね……☺️御曹司様はお強いですね…… (2023年3月16日 20時) (レス) @page47 id: 4a8f05344b (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 乃愛さん» コメントありがとうございます!可愛らしいイラストですよね!作者も気に入ってます(*´꒳`*) (2023年3月14日 11時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺子 | 作成日時:2023年2月3日 17時