青い監獄のスポーツドクター見習い3【ブルーロック】

114話　決断 ページ18

「…A！」


『ん？』





ゲーセンから出て少し経った時、後ろから慌てた様子で声をかけられる。振り返ると潔くんがいた。



『あれ、どうしたの？』

「いや俺もこの後違う友達と会う約束してるから抜けてきた。途中までいい？」

『それはいいけど…』






2人で並んで歩く。私は嘘ついて抜け出したから申し訳ないな…と考えていると彼に心を読まれたのかこんな質問をされた。


「Aも友達と会うの？」



『えっ、あー…あはは、ごめん。あれ嘘なんだ』


「えっ、そうなの？」





『マネージャーでも医者でもない私が皆の中にいたら、ね…撮られた選手達の写真の中に私が混じってネットで色々言われたら面倒だし』


「あー、そんなこと絶対ない！とは言い切れないか…」


『自意識過剰だとは思うけど自衛だから許してね』






「Aが謝る必要ないって！」と彼は笑ってくれる。

…優しいなぁ。バカみたいに自意識過剰で心配性な自分が嫌になるがこう言ってもらえると助かる。









「てかさ今ビジホ泊まりなの？」


『うん。今実家にはちょっと…帰れないから』




私の濁した言い方が気になったのか彼は小さく首を傾けた。

…そう言えば試合の時に「終わったら私の話が聞きたい」って言ってたな潔くん。…今でもいいか。







『私ね、親との仲が悪くて。この間も「青い監獄にいるなら帰って来なくていいし大学にも行かせない」って言われちゃって』


「そう、なんだ…」




『所謂モンペ？みたいな感じでさ。気に入らないことがあるとすぐクレーム入れるんだよね。中学の頃までやってたサッカー辞めさせられたり、高校勝手に決められたり…


…こんなんだから友達とかにもあんまり相談したいとは思えないしね。可哀想なヤツって目で見られて色々言われるのが嫌でさ』




「あ、ご、ごめん。嫌なこと聞いた…」


『嗚呼、違う違う！今は私が勝手に話してるだけだから誰も悪くないよ。こっちこそごめんね、暗い話して』







『でもね』と付け加える。こんなに親の事で話ができるのは初めてかもしれない。それになぜが嫌な気分はない。





『今誰かに話せるくらい心が軽いの。よくよく考えたら私いつも親に怯えて従ってただけだし。

…やっぱり夢は諦めたくないから私は私なりの決断をしただけ』








『…自分勝手だけど聞いてくれてありがとう潔くん』と彼に向かって笑う。



この時ばかりは自然と笑えた気がする。

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