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88話 忘れ物 ページ40

『どっ、どうしました…?』



び、びっくりした…真後ろにいるとは思わず、心臓がバクバクしている。

彼は眉一つ動かさない。…糸師選手、正直弟の凛くんより感情が読みづらい。






『(ちょっと怖い印象があるんだよね…失礼だとは思うけど…)』







するとぶっきらぼうにグーにした手を差し出される。何かを私に渡したいのか、ん?と思いながらも反射的に両手を出した。






「簡単に落ちるやつ付けてんじゃねぇよ」


『え?…あ、』




コロン、と手に落ちたのは今まさに探していたピアス。えっ、と彼の顔を見上げた。








『こ、これどこで…?』

「マネージャーが車の中で見つけた」



『…え、わざわざ届けてくれたんですか?』


「うるさかったから渡しただけだ。どんだけピアス開けてんだ」


『う…』








開けすぎなのでは、と自分でも分かっている。だから将来は全て塞ぐか、イヤーロブしか残さないと決めている。高校生の内だけだ。



…親のストレスから逃げるために開けたのが始まりだったんだけどね。








『それでもありがとうございました。これ、お気に入りだったので…」

「そうかよ」



『あ、何かお礼を…』








本当にお気に入りのピアスだった。多分一番好きなやつ。だから言葉だけで済ませたくないと荷物の中を漁る。



反対に、別にどうでもいいと言いたげに興味なさそうな様子の糸師選手。

すると彼が机上にあるルーズリーフを1枚手に取った。それは私が先程まで書いていたもので、







「…」

『(あ、)』


「…これは?」


『えと…オイラーの公式を使った問題ですね』





最も美しいと言われているオイラーの等式。

彼は無言でそれを見ている。…字、乱雑に書いてるから恥ずかしいな…







「…」

『…す、数学とか好きですか?』







無言が気まずくて、糸師選手にそう問いかける。


ヤバい、何考えてるか分かんない…もしかして「ここは勉強する場所じゃねぇ」とか言って蹴られるんじゃ…







「…通信簿とか見たことねぇ。…でも、数字が可視化されてるのはいい」


『えっ…わ、私も数字見たりするの好きです』


「俺は勉強興味ねぇけどな」


『あはは…あ、』








リュックの中で何かの袋に触れる。


お土産が残っていたかと引っ張りだすと、出てきたのは“塩こぶ茶”




『…』







いや何でこぶ茶?

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苺子(プロフ) - kaedeさん» コメントありがとうございます!隙あらば夢主ちゃんに構ってアピールする士道くんです() (2023年1月20日 19時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
kaede(プロフ) - あは。もうありがとうございます。士道くん最高すぎて逝きそう (2023年1月19日 21時) (レス) @page42 id: 426304659c (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 猫さん» コメントありがとうございます!面白いと言ってもらえて嬉しいです…!更新頑張ります (2023年1月19日 21時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - 朝花さん» ご心配ありがとうございます。これからもこの小説を読んでくださると嬉しいです。よろしくお願いします (2023年1月19日 21時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - 朝花さん» 分かりました!なんかすみません🙇 (2023年1月19日 6時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苺子 | 作成日時:2022年12月25日 20時

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