9話 見えてるもの ページ10
「…あ、そうだ。なぁ蜂楽」
「ん?なに?」
思い出したようにストレッチをする蜂楽くんに話しかける潔くん。私は手に持ったボールを足元に置いた。
「オニごっこの時…お前俺にパスしたじゃん。俺が吉良くんにぶつけると思ったからって言ってたけど…なんでそう思ったの?」
「……うーん、」
「俺の中に“かいぶつ”がいるから」
「(は⁉︎)」
一瞬で私の足元にあったボールを取られる。あまりの速さに『うわっ!』と間抜けな声が出た。
それを防ぐように素早く反応した潔くんが蜂楽くんを抑える。
「(行かせるか…!)」
「サッカーしてる時だけそいつが出てきて言うんだ。「ゴールを奪え」って。
でもあの時はさ、俺の中のかいぶつが言ったんだ。「
2人での攻防一体。私はそのプレーをただ少し離れた所から見て、会話に耳を傾けていた。
『(かいぶつ…?イマジナリーフレンドってやつ?にしても蜂楽くんいい動きするな。筋肉の柔軟性が誰よりもある)』
ぼーっとした頭でそんなことを分析してると、耳を疑うことを言われた。
「あ!でもでも、イバラちゃんの中にも“かいぶつ”がいるって言ってたよ、」
『…えっ』
思わずドキッとする。私の中にいるの?彼のいうかいぶつが?
潔くんも驚いた顔でこちらを見た。
『…それって…』
「ママが言ってんだ。大人になると信じたいのに信じられないから聞こえないフリをする。そうしている内に自分の本当の声が聞こえなくなるんだってさ」
『…その本当の声がかいぶつ?ってこと?』
サッカーに限った話じゃないのか?蜂楽くんの場合、サッカーのかいぶつを感じるんだ。
……じゃあ私の中のかいぶつってなんだろう。
私が問いかけると蜂楽くんはそれには答えずニカッと笑った。
「自分の信じたいモノを信じればいいんだよ!」
『(信じたいもの…)』
その台詞を聞いて、私は無意識にボールの方へと駆け出した。
2281人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺子(プロフ) - ぺんぺんさん» コメントありがとうございます!読んで頂き嬉しい限りです(*´꒳`*)これからもよろしくお願いします! (2023年3月18日 23時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ぺんぺん(プロフ) - 最初からとっても面白いので、ついつい熱中して呼んでしまっています・・・。これからも頑張ってください!! (2023年3月17日 20時) (レス) @page28 id: 0923c869aa (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!今あなた様に出会えたことに感謝です((更新頑張ります!(*'▽'*) (2023年3月15日 22時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ - 初コメ失礼します!もっと早く見つければ良かったです。好きです!応援してます (2023年3月14日 13時) (レス) id: 0e75ff5f17 (このIDを非表示/違反報告)
苺子(プロフ) - アレンさん» コメントありがとうございます!雪宮くんに振り回される夢主です((これからもよろしくお願いします…! (2023年2月4日 11時) (レス) id: b537714951 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:苺子 | 作成日時:2022年11月29日 16時