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カーテンコールも終わり、半分放心状態だった私が劇場を出た時には、あまりお客さんが残っていなかった。
入口の所で主演者の皆さんがお客さん達を見送っている。
その中に伏見さんの姿もあるわけで。
先程よりも更に近い距離で彼を見ることが出来るなんて。
「ありがとうございました。」
にっこりと笑って控えめに手を振ってくださる伏見さん。
「お、お疲れ様でした…とってもかっこよかったです…!」
咄嗟にそんな言葉しか出てこなかったけど、あまり出入口で留まるのも良くないと思い、そう言い残してそそくさと劇場を後にした。
皆木くんとは明日もバイトで会うはずだから、明日改めて感想を言おう。
今日はやっぱり公演の余韻に浸りたい。
「いい匂い、したな…」
って私、何変態みたいなこと考えてるんだろう。
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「どうだった?」
居酒屋のバイト終わり、皆木くんと賄いを食べている最中にそう聞かれる。
「脚本も演技もすっっっごく良かったよ…!!」
私がそう言うと、皆木くんはほっと胸を撫で下ろす。
「なんか桜木にそう言ってもらえると安心だわ…」
「えへへ、そうかな?」
その後、私はストーリーの良かった所、それぞれの役の素敵だった所を余すところなく彼に伝えた。
春組公演も夏組公演も見に行って、そうやって感想を伝えてきたからもう習慣みたいになっている。
「伏見さん、デューイさんを演じてる時とカーテンコールとじゃ全然雰囲気が違ってて、ギャップが良かった……」
思い出すだけでにやにやしちゃう。
「だろ?俺も最初あんな優しそうな人に悪役って出来るのかなって思ったけど、そんな心配全然いらなかったよ。」
「私、伏見さんのファンになっちゃった…」
異性にそんなこと打ち明けたのは初めてで、少し恥ずかしくて頬を手で隠す。
「出入口で御見送りしてくださった時、あんまり話せなかったから次はもう少し話す内容考えてから行きたいな…」
「話したいなら大学で会えばいいだろ?」
「へっ!?いや、でもいきなり話しかけたら変な人だと思われるよ…」
「俺も一緒なら大丈夫だって、俺の友達ってことで紹介してやるから。」
もっと話してみたいんだろ?と言った皆木くんは、スマホを確認しだした。
「この日、伏見さんと一緒に昼飯食べに行く約束してんだけど、お前も来る?」
「え?」
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ちょこしゅー。(プロフ) - ベルさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんちょっとあざといかな?と思っていたのでそう言って頂けて嬉しいです…!写真撮り合うところは私もニヤニヤしながら書きました(?) (2019年12月26日 13時) (レス) id: 4110ba5437 (このIDを非表示/違反報告)
ベル(プロフ) - はじめまして、コメント失礼致します。めっちゃくちゃ素敵です!夢主ちゃん可愛くてタイプですし、臣くんもかっこよすぎて…写真撮り合う2人が素敵すぎてニヤニヤしちゃいました。これからも楽しみにしてます。更新頑張ってください! (2019年12月22日 18時) (レス) id: bc2ab253dd (このIDを非表示/違反報告)
ちょこしゅー。(プロフ) - カナメさん» コメントありがとうございます!お返事遅れてすみません…!そう言って頂けて本当に嬉しいです!本当に更新不定期で、話も迷走中なのですが、これからも読んで頂けたら嬉しいです…! (2019年12月22日 10時) (レス) id: 4110ba5437 (このIDを非表示/違反報告)
カナメ(プロフ) - お、臣くん……すっごい好きです!大好きです!更新楽しみにいつまでも待ってますスっ!頑張って下さい!!応援してます! (2019年11月11日 17時) (レス) id: 0e1b460f55 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこしゅー。(プロフ) - あいちゃんさん» コメントありがとうございます…!なかなか更新できていませんが、これからも読んでいただけると嬉しいです…! (2018年11月4日 14時) (レス) id: a8d5a25739 (このIDを非表示/違反報告)
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