運命か不幸か。 (ページ9)

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本日6度目のホットラインが鳴り響いた。

「勝浦西消防より高エネルギー外傷によるドクターヘリ要請です。水上バイクの事故。30代男性。防波堤に衝突。意識レベル300、ショック状態です」

白石はCS室にいる町田に確認をとり、

「出動します。」

と。

その頃、初療室では緋山がICUにいる藤川からの応援要請に対し、「無理」と冷たくいっていた。

「今、初療室、私と海宙だけなの」

「三井先生は？」

「橘先生と腸管損傷のオペに入ってる。ここ離れたら医者が海宙しかいなくなるから」

緋山の声を聞いていた名取が隣の横峯にボソッと言った。

「俺らも一応医者だけどね」

「それで、どうしたの？」

「熱傷の内田さんがショック状態。灰谷とCHDFしようとしてるけど手が足りない」

「フェロー！」

緋山は鈍い声を発した。

「…男と女両方！」

「「『はい』」」

「MTPオーダーして。10ｰ10で。JATECのプライマリーサーベイぐらいはできるわよね？研修でやったでしょ。それで異常があったら海宙に助けて貰って。後コールして。私はICUに行く

海宙、2人の事見てて。あんたは出来るから、他の出来ない奴に回しといて。サポートお願い」

緋山は葉山にそう言った。

『あ、はい』

緋山が出ていくと、名取が横峯に尋ねた。

「今の指示わかった？」

「半分ぐらい？」

横峯と名取の話に呆れながら、

『輸血の準備をして待とう』

と動き出す。

そうすると突然横峯が

「葉山先生今の指示わかったの？」

と言う。

『え、あぁ…うん』

「お前って頭いいんだな。意外だわ」

「ちょっと、葉山先生を今までバカ扱いしてたの？ほんと最低。名取先生、ありえない！」

名取と横峯が少し言い合いになっていく。

一方、雪村は大きくため息をついて声を荒らげて言った。

「名取先生って葉山先生に会った時、一目惚れしてましたよね。もしかして好きなんじゃ？」

『えっ、？』

「え！？名取先生そうなの〜？笑」

「はっ、！？違ぇし、そんな訳ねぇだろ！

…ていうかお前、その傷」

名取は葉山の腕を指した。

『…あ〜、気にしないで。ほら、輸血の準備しよ』

雪村、横峯は葉山を心配しつつ、準備をし始める。

名取はずっと葉山を見ていた。