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処置室では救急車で運ばれた患者とヘリで運ばれた患者の治療が同時に行われていた。
白石と三井は転落した70代男性患者を生還させるべく開胸心臓マッサージを続けている。一方、フェローは
名取は何をしていいか分からないので傍観を決め込み、横峯はナースの仕事に手を出し、冴島に注意される始末だ。隣の処置台では緋山と藤川が熱傷の40代男性患者の挿管にかかっている。フェローの灰谷はAラインの確保を指示されたが、血圧が下がっていてうまく動脈に針が入っていかない。失敗した針が10本近く床に転がっている。葉山はそんな灰谷を冷たい目で見ているだけ。
「血圧、落ちてます！」
切羽詰まった雪村の声が灰谷をさらに焦らせる。
「なんで…」
『貸して』
葉山は見てられない、と思い灰谷と交代する。
「ちょっとフェロー」
「胸のポータブル撮るからオーダーして」
緋山は名取に言う。
「え」
「そう、あんた」
「あ、はい」
名取は指示に従った。
葉山が1発でラインを取ったのを灰谷が凄く嬉しそうにしている。
それを見ている雪村は大きく溜め息をついた。
「なんか、想像以上にやばいね。今の救命」
「お前が来てくれて助かったよ」
そこに、本日5度目のホットラインが鳴り響いた。
「翔北救命センターです」
「茂原市消防よりドクターヘリ要請です。胸痛を訴えた女性がレベルダウンしています」
「平砂浦総合病院のドクターヘリ、出勤中なの？」
「別のミッションで出てるとのことです」
隣のCS室を伺うと町田がガラス越しにOKサインが見える。
「三井、そっちは俺が代わる。行ってくれ」
橘が三井に言う。
「わかりました、出動します」
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作者名：し る う ぁ | 作成日時：2022年7月27日 23時
