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「血圧落ちてます」
「REBOA使おう」
「レベル1で輸血します」
「FFP、RBC、もう10単位オーダーして」
『はい
名取先生、手伝って』
葉山が何もしない名取にイラつきながら言うと
初療室を出ていった。
『、え、?』
葉山が止めようとするが、藍沢が制した。
「ほっとけ」
____________
葉山、横峯、灰谷が3人でスタッフステーションへあるいていく。
「倉田さん、安定してよかったね」
「ホント。でも骨盤骨折の診断ってやっぱ難しいのかな。名取先生なら気づけそうだけど…」
葉山と灰谷は、名取の存在に気づく。
葉山は名取と目が合うが、名取は一瞬で逸らした。
「名取先生、できるオーラ出てただけかな?」
灰谷がまずいよと横峯の腕を叩く。
「え?…あ」
奥のデスクには白石と緋山もいたが、あえて口を挟まず黙って自分の仕事を続けている。そんな2人を意識したのか、名取はわざと軽く反応して見せた。
「何?そういう顔されると、なんか俺がやらかしたって感じでイヤなんですけど」
「だって…結構まずかったよ?」
「結果、大丈夫だったからいいでしょ」
名取の言葉に、灰谷は白石と緋山の顔色を伺う。
「いや、でも…」
「まぁ、いい経験だよね。俺も落ち着いていつも通りやれば良かったんだよな。次からはそうするよ」
落ち込む自分を認めたくなくて名取は強がる。葉山はそのやり取りを名取を睨みながら見ていた。
「次はないのよ」
「はい?」
誰が言ったのかと名取は振り返り、白石と目が合うとハッとなる。
「私たち医者には次があるけど、患者さんは命を落としたらもう次はない」
白石はそういうと立ち上がり、スタッフステーションを出ていった。
「…いや、そんなのわかって___」
名取は葉山がどう思っているか、様子を伺った。
困惑する名取を葉山が睨みながら見つめている。
「あ、ごめん。怒らせちゃったね?
ていうかお前もそっち側?笑」
笑っている名取を葉山はキツくいった。
『…見損なったわ。あんたみたいな人一生医者向いてないと思うし、私たちも一緒に治療したくないんだけど』
少し笑うように葉山が言う。
名取は舌打ちをしてスタッフステーションを出ていった。
好きな子にそんなこと言われたらショックしかないだろう。
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作者名:し る う ぁ | 作成日時:2022年7月27日 23時