運命か不幸か。 (ページ39)

今日:17 hit、昨日:55 hit、合計:40,221 hit

5-4 ページ39

冴島side

「大丈夫か、あいつ」

「ん、？」

藤川先生に声をかけられ、ん？と返して。

「意外とショックなんだろうな。大切な家族が亡くなるのって」

そう。一昨日の朝に海宙ちゃんのお母さんが亡くなった。

歳もそこまでいっていない。若い方。

まだまだこれからだった。

葉山菜々子さんの生活面には少し問題があった為だ。

立ち直れないのは私だって分かる。

私も同じようなことがあったから。

田沢悟史。

雲の上は、どうですか？

葉山菜々子さんとお話を交わして見てください。

と考えて。

今でも堕ちてる海宙ちゃんに声をかける。

「葉山先生。…あ、勤務中だから、苗字で。」
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

葉山side

「葉山先生。」

見覚えのある、優しくてキツめの声。

振り返ると、冴島さんがいた。

『あ…お疲れ様です。』

慌てて母が持っていたネックレスをしまって。

『何か、用でも、？』

「一緒にされたくないかもだけど…貴方と私はよく似てるわ。

性格も。ちょっとプライベート面を触れられると苛立っちゃうでしょ？それで前、白石先生にぶつかってしまった。」

『言われてみれば、ですね…』

「それだけじゃない。私も数年前、葉山先生が入院してきて、私は変わらずフライトナース。藍沢先生達はフェローの頃よ。同じく、貴方と同じように恋人を失ったの

恋人はね、田沢悟史って言う人なの。

悟史は、とっても優しかった。今でも思い出すと、泣きそうになる。それにね、亡くなる時、私もヘリ要請が来ちゃって行っちゃったの。亡くなる事を知らされたのも、ヘリの中。全く一緒だわ。

それでも、皆は支えてくれた。それで気づいたのよ。私は1人じゃないんだって。藤川先生は私に言ってくれたのよ。詳しくは言えないけどね。笑

だから、海宙ちゃん。」

冴島さんはそう言って私の顔を両手で包む。

「貴方も1人じゃない。救命のみんながいる。どんな事があっても何が起きても悩んでも、相談したり自分で判断を決める。それで生きていけばいいのよ。

もちろん、今忘れろって言ってるんじゃない。落ち着いた時でいいの。ね？」

私は凄く泣いてしまった。冴島さんを抱きしめて、。

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
冴島さんのスクラブをびちょびちょにしてしまった。

『本当にごめんなさい…』

「いいのよ気にしなくて。笑」

雪村さんが憧れる、冴島さん。

フライトナースの冴島はるか。