運命か不幸か。 (ページ38)

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雪村side

私も、藍沢先生も、葉山先生自身も、翔北について、帰ってくるまでのお母さんの命が持つことを願っている。

願うこと、1分。

その時、緋山先生からヘリへ、伝えにきた。

「海宙、聞こえる？」

『…はい』

「今ね…。葉山さんが亡くなった。たった今、10時12分。…ごめん、」

機内をしばしの沈黙が支配した。ほんの数秒だが、絶望的なまでに冷酷な時間。

『…わかりました。』

その沈黙を破ったのは、葉山先生。

藍沢先生は、横目で葉山先生を見る。

私は、正面から。

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葉山side

その日の夜、私はずっとぼーっとしてばかり。

頬に何かの冷たいのが触れる。

その正体は、名取先生がくれたジュース。

「あげる」

『えっ、あぁ、ありがと』

それに続いてくる横峯先生。

その様子を伺う灰谷先生と、雪村さん。

「無理に忘れなくていい」

『え？』

「今日ヘリ要請でいなかった時、お前の母さん、こう言ってたぞ。

海宙を、最後まで見届けてください。って。

お前、大切にされてんじゃん。」

慰めてくれているのか。

「葉山先生はどこからでも必要とされてる。

家族のことで悩んでたら、すぐ私達に言う！分かったね？

すぐ溜め込まない。同期だよ？そういう時、頼ってよ」

私は思わず涙が出てしまう。

こうして、残酷な1日は終わったと___。