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救急外来にやって来た患者が初療室へと運ばれてきた。緋山、藤川、灰谷、雪村がスタッフステーションから駆けつけると既に葉山、横峯、冴島が対応している。
「緒方博嗣さん、41歳。足を滑らせて転落。頸髄損傷の疑いです」
「何。釣り人？」
「有名な料理人らしいですよ」
「へぇ、すご！」
「お、俺のイワナ…店の生け簀に…」
「ハハ、根性あるわ、この人」
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白石達はヘリ要請が出て向かった。
そのしばらくした後、あんなことが起きるなんて___。
「こちら翔北ドクターヘリ。ヘリの機内で患者が嘔吐、吐瀉物を浴びた冴島さんが、意識を失いました。灰谷、白石も吐き気、目眩の症状が出てます」
それを言い藍沢を始めみんなが驚く。
ヘリがヘリポートへ着陸し、葉山、名取、横峯が駆け寄ろうとする。咄嗟に藍沢が叫んだ。
「お前たちはまだ接触するな。医者が全員倒れるのはまずい。」
葉山、名取、横峯はハッとして足を止めた。
除染を終えた冴島と秋本は初療室に運び込まれた。白石と灰谷は毛布にくるまって車イスに乗り、早川と鳥居は広田によって酸素吸入が行われている。橘はホワイトボードに毒物を箇条書きしながら、眉をひそめた。
「可能性のある毒物が多すぎるな…」
「はるか…！」
藤川と緋山が駆け込んでくる。
「何これ、どうなってんの」
「解毒剤は？何を投与したんですか？毒物は何ですか？」
「今、特定している」
「え、…これ、まだ、何分たってるんですか。おい白石、何分たってるんだよ！？」
「…20分」
「20分！？20分って…どうにかなんないのか、藍沢。なぁ、どうにかしてくれよ！早くしないと間に合わなくなる…！」
藤川のその声が、初療室に響く。
葉山は、悲しそうに藤川と冴島を長々と見つめていた。
「白石、灰谷、思い出せ。呼吸状態、身体の痛み、目の見え方、音の聞こえ方、皮膚に発疹は？どんなことでもいい。思い出してくれ」
「えっと、。吐き気がして、呼吸が早くなって…周りが少し見えづらくなって…甘い匂いが」
「甘い匂い？」
「患者が吐いた時になんか、甘酸っぱいような…」
「私は感じなかった…」
白石の言葉を最後に、みんなは黙り込む。
その沈黙を葉山が破った。
『…シアンだとおもいます、』
いっせいにみんなが葉山を見る。
「…そうだな、」と藍沢が言った。
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作者名：し る う ぁ | 作成日時：2022年7月27日 23時
