運命か不幸か。 (ページ13)

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「まだ動かせませんか？」

「ダメです。スプレッダーで山車と壁の間を拡張しないと動かせません」

点滴をリンジで流した時、少年の腕が不意に脱力し、手から紙切れが落ちた。

『レベル低下してます…！』

「藤川先生、いける？」

「悪い。転落の男性が骨盤骨折でショックなんだ」

「救出まであとどれぐらいですか！？」

「30分です！」

「まずい…

お願い、まだいて……藍沢先生？」

「白石か？」

「頭部外傷で意識不明の少年がいるの。7、8歳。壁に挟まれて動かせない。救出まであと30分「もういい、わかった。現場に向かう」」

藍沢が到着した。

「レベルが下がったのは何分前だ」

『5分前です。100から300まで落ちました』

藍沢は葉山を見る。葉山はお辞儀をした。

「葉山先生、ここは藍沢先生に任せて。さっきの女性の所へ行って、横峯先生のフォローお願い」

『分かりました』

葉山は藍沢と交代し、その場を離れた。

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(フェロー)

「はーっ！疲れた〜今日ホットライン多くない？初日からしぬよ…」

「横峯先生何もしてないじゃないですか。ほぼ白石先生に怒られてましたよね？」

横峯に毒を吐く雪村。

「雪村さんなんでそういうこと言うの！？私だって頑張ったよ…」

「お前、もっと頑張んないとダメだろ

ちゃんとやらないとあいつみたいにオドオドするぞ？」

「オドオド？」

「ほら」

名取が指を指した先には、疲れ果てている灰谷がいた。

「1番平和だった人…、」

「お前は？白石先生と、8歳ぐらいの男の子処置したんだろ？」

『あ、うん…、結構レベル低下してて大変だったよ』

「葉山先生って、沢山の知識持ってますよね。フライトドクター、すぐなれそうですね。そこの人達と違って」

「ちょっと、雪村さん！そういうこと言わないでよ〜。葉山先生が凄すぎるだけだって…、」

『そんなことないよ、まぁでも、大学で沢山勉強してたからね。留年間近で』

「ん、留年間近…？なんかあったの？喧嘩？」

横峯はデリカシーというものがないのだろうか。雪村がそれを止める。

『あぁいや、なんもないよ。じゃ。』

そう言って、葉山は医局へ向かった。

名取と雪村は、立ち去る葉山の背中を見つめていた。