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翌朝。いつも大学に行っていた鞄を持って家を出る。
私は昨日、翔也から言ってもらった提案を
受け入れたから…
「もしもし」
=あっもしもーし=
あの後、連絡先を交換して
ノートも写して終わって帰った翔也に
朝、いきなり電話をかける私。
「今家出たよ」
=ってか、前置きないのね(笑)
俺、もう出てるよ=
「え、早くない？(笑)」
=だって乗り遅れたらダメでしょ？=
「まぁ、そうだけど」
=今日の講義さぁ…=
なんて、他愛も無い会話。
翔也に迎えはダメだよって言ったら
じゃあ電話しよ！で、同じ電車で行こう！って…。
そんなに心配なの？みたいな話だけど
せっかく言ってくれてるものにダメダメと
言いづらくて良いよって言って今に至るんだけど…
「あははは(笑)」
=ねぇ、笑いすぎだって(笑)=
「だってさぁ…(笑)」
もうすぐ駅に着いて改札を抜けるっていう時に
見つけちゃった姿。
=A？おーい=
「あっごめんごめん！
駅着いた！1番後ろに乗るね！」
=はーい、じゃあ後でね=
切れた電話をまだ耳に当てたまま
電車が来るまでそのままで居る。
電車が来て1番後ろに乗り込むと
やっぱり見つかってたんだね。
人が意外といるから直接くるかんじはないけど
本当に嫌だ…
次の駅までが長い…早く着いて…そうすれば
翔「A？」
「あっ翔也、おはよう」
翔「おはよう(笑)」
自然と翔也の服を掴むと
えって顔されたけどごめん、今はこのままでいて？
翔「どした？」
「ううん、なんでもないの」
体勢的には私が壁に寄りかかって前に翔也が立つ。
見える角度に寄っては凄い近いようにも見えるはず。
翔「何かあった？」
「後でね」
翔「鞄、邪魔じゃ無い？」
「大丈夫(笑)」
そう言って携帯を触り始めた翔也。
本当居てくれて良かった…
翔也に感謝しなきゃ。
翔「ねぇ！見て！」
「凄いの？(笑)」
翔「うん！凄いの！」
楽しそうな笑顔を見るとこっちも笑顔になるな…って
思って目線を下げたら
鞄のファスナーから覗くウサギ。
「ふふ、ウサギ出てるよ(笑)」
翔「あっそうそう！しまったら潰れてて
可哀想だったから(笑)」
「私も出てる(笑)」
翔「本当だ(笑)」
まだ、もうちょっとかかる電車で
翔也の後ろに居る、あいつ。
ふと、窓の外を眺めると
過ぎていく景色。
こんな速さで忘れられたら
無かったことにできるのかな…
トントンっと肩を突っつかれて
翔「いくよ」
「え？」
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作者名：Chii。
| 作成日時：2021年10月5日 23時
