【本編小説】この夏は君と。 (ページ29)

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◇心強い味方［紅邑色羽］ページ29

真っ青な海。
晴れ渡った空を映し出す海はとても綺麗だった。
多分、あの近くにある船着場が指定の場所だと思う。僕はゆっくりと景色を長めながら、集合場所に足を向けた。

集合場所の一歩手前で、僕は足を止めた。
僕と同じ招待をされたのか、自分が持っているものと同じ白い封筒を手にした女の子二人組が楽しげに談笑している。
無理だ、あの中に入っていける気がしない。同じ空間に居ても大丈夫な訳がない。
今すぐに引き返したいと思うが、ここで逃げ出すのも格好が付かない。
どうしたものか。せめて女装して可愛い女の子の状態だったらもう少しマシだったかなーとか思いながらそのやりとりを眺めている。

暫くそのまま動かないで居ると、急に声を掛けられた。

「ひぁっ！？」

「あっ、ごめんね。驚かせるつもりはなかったんだけど……」

びっくりして変な声が出た。
振り返ってみると、水色の髪の男の子が立っていた。
人の良さそうな笑顔を浮かべていて、まさに好青年って感じの男の子。

「君も島に行くんじゃないかな？」

その子も例の封筒を持っている。
僕も慌てて手に持っていた封筒を見せ、その問いに答える。

「僕は里村水月です。君の名前を聞かせて貰っても良い？」

「べ、紅邑色羽……あのっ……よ、よろしく……」

人と話すのはかなり久しぶりで、しどろもどろになりながらなんとか自己紹介をする。
目を合わせられなくておどおどしていたけれど、その子はにっこりと笑って、

「よろしくね色羽君」

と手を差し出してきた。怯えながらもその手を握り返す。
会話を終えると同時に、集合場所に居た女の子の一人が、こっちに気づいたみたいだ。
大きく手を振って、声を張り上げる。
その女の子の向日葵色の髪が少し揺れた。

「おーい！君達も島に行くのー？だったらこっち来なよー！」

「行こうか、色羽君」

「あっ、うん……！」