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食器棚からコップを取り出すと、扉が開く音が聞こえた。
急いで食器棚に背を向けて、冷蔵庫の戸を開く。
A「おかえりっ…」
何も言わないのは不自然だし。
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かと言って、顔を見られるわけでもない。
ああ、なんて適当な返事をした涼介がキッチンへやって来る。
涼介「今日…」
2Lのペットボトルに入ったお茶をコップに注ぎながら。
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A「洗濯畳んだから、涼介はお風呂掃除お願いしてもいい?」
涼介「え?ああ…」
A「夕飯は昨日ママがカレー作ってくれたから私温めとくよ。」
涼介「そう。」
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今日…の続きは何を言おうとしたんだろう。
伊樹先輩に…
裕翔に…
思い当たる節がありすぎて、わからないよ。
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着替えに行ったのか掃除に行ったのか、涼介がキッチンから出て行く。
A「はぁっ…」
思わずため息が漏れる。
別れよう、なんて言われたら私はこの先普通でいられる自信がないよ。
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冷蔵庫に冷やしてあるカレーを取り出して、コンロにかける。
ぼぅ…と火がゆらゆら揺れた。
伊樹先輩は、あの写真をどうするつもりだろう。
文化祭なんかで舞い上がったりして馬鹿みたいじゃない?
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今更後悔したところで何も変わらないのはわかってるけど…
ふたりで映ったあの写真をばら撒かれたら…なんて考えたらゾッとする。
伊樹先輩の指先ひとつで、簡単に崩れ落ちることができてしまうんだろう。
もしそうなったら…私は……涼介は…
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涼介「…吹いてる。」
A「え?…あっ、やばっ…」
いつの間に戻ってきたのか、涼介がカウンター越しに鍋を指差した。
言われた通り吹いてる鍋。
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焦がさないように注意してね、って散々ママに言われたのに!
慌てて鍋の蓋を外してオタマを取ろうとしたら。
A「…ぁ、っつ…!」
やば…落とす…!
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涼介「っ…あ、…っぶね…」
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めがねっこ(プロフ) - 次から次へと…主人公ちゃんの入院中のことも気になりますが何より伊樹先輩が涼介くんに何を言ったのかも気になる…お見舞いに来なかったのもなにか関係あるのかなあなんて1人でもやもやしてます(笑)あと裕翔くんも何か言いかけた…気になりすぎます!! (2017年11月3日 1時) (レス) id: f984b0844c (このIDを非表示/違反報告)
すけさん。(プロフ) - 気になる気になる。入院している間に何が起こってたの?!!模試頑張ってください!^ ^ (2017年11月3日 0時) (レス) id: 030895ae91 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - 輝莉花さん» コメントありがとうございます! 頑張ります! (2017年11月2日 17時) (レス) id: 9eb015a482 (このIDを非表示/違反報告)
あすみ(プロフ) - ゆきえさん» ありがとうございます! (2017年11月2日 17時) (レス) id: 9eb015a482 (このIDを非表示/違反報告)
輝莉花(プロフ) - 続きめっちゃ気になります!無理せずつ頑張ってなください! (2017年11月1日 17時) (レス) id: efaf790b25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすみ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/0059_asumin
作成日時:2017年9月2日 9時