〈HQ〉君のチョコレート【赤葦京治】【完結】8

8-49 粒目 ページ49

月「いや…何こんなところでファンサービスなんてしてんのさ。」

呆れた顔で私の手元を見る。

ニ「良いじゃーん。本人が良いよって言ってくれてんだし。」

貴「大事でしょ。」

サインを書き終えて、ペンを二口さんに返すと

ぉお！ありがとーとニッコリ笑う。





蛍は軽くため息をついて、今度は及川さんを見た。

月「で…及川さんは懲りずにウチのにナンパですか？」

及「メガネ君こそ、まだ"ウチの"なんだね？」

睨み合う2人。

横の二口さんは私と蛍を見て、へぇ。とニヤリと笑う。






月「ふ…。何を…。」

及「何をって何さ。」

月「この人、東京の"全国常連強豪校のセッター"と付き合ってるので、及川さんなんて眼中にないですよ。」

及「なっ！！！」





わざと全国常連強豪校のセッターを強調したな。

横で二口さんは、ぶはっ。うわー。と楽しそうに吹き出す。

この人、見た目ほどチャラくはないけど

良い感じに性格は悪そうだなぁ。






ニ「彼氏とかできて大丈夫なの？」

貴「いや、私別にアイドルじゃないので。」

私に耳打ちした二口さんは、へー。と声を出す。








キィ…。







扉がゆっくり空くと日向が気まずそうに顔を出した。

月「ちょっと。早くしてよね。」

日「えっ！なんで月島まで増えてんの！？」






機嫌悪そうに歩き出した蛍に

日向はポテポテとついていく。

私も全員に頭を下げてから後に続く。







及「メガネ君を選ばなくて良かったの？」








挑発的な及川さんの声に私は振り返る。









.












貴「さぁ？何のことですか？」

及「………まぁ、関係ないけどね」





二「水宮さーん。またねー。」






手をヒラヒラさせる二口さんに手を振り返し

2人の後を追った。

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