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8-21 粒目 赤葦side ページ21

赤「家まで送る。」

貴「え!駅までで平気だよ?」

赤「送らせて。待ち合わせここにしたのも後悔したから。」

貴「……。」

隣で少し不思議そうに俺を見上げる。





どうして?と聞かれたらなんて答えよう。

正直に言ってしまおうか。

可愛い好きな子が

1人で帰るのは心配で仕方ないんだ。

行きもそんな可愛い姿で1人にしたくなかった。

言ったらどんな反応をする?

また踏み込み過ぎてしまう俺を

抵抗する事なく受け入れてくれる?

受け入れてくれたら

どうして受け入れてくれるの?って

聞いてしまうだろう。








水宮の表情を改めて見る。

少し悩ましげな表情…。

だけど彼女の口から

疑問文が飛んでくることはなかった。









何気ない会話を交わしながら駅まで歩き、

電車を乗り継ぐ。

少しずつ人は減っていき、

水宮の最寄駅は着く頃には

普段と何ら変わりない人の量となっていた。






人混みを抜けてしまったし、






もう"これ"は理由がない。









俺はゆっくりと…

ずっと絡ませていた水宮の指を、

手を離した。









並んで歩く距離も自然といつも通りに戻る俺たち。

何度か通い、完全に覚えた水宮の家への道を歩く。

よく寄るチョコレートショップは閉店時間を過ぎ、

店内は真っ暗だ。









貴「今日、本当に楽しかった。」

さっきまでとは違い、

少しだけ離れた所から聞こえる水宮の声。

次に、あの近い距離で君の声を聞ける日は

いつになるだろうか。

そんな日は来るだろうか。

赤「俺も。久しぶりにリフレッシュした気分。すごく楽しかったよ。」

貴「ありがとう。誘ってくれて。高校生活中にこんな経験できると思わなかったな。」








部活三昧、ダーツ一色の日々。

お互いこの生活に不満があるわけではない。

でも、それ以外でも

今やるから価値がある思い出作りってあるんだなと

実感した。

そして、その大切な思い出をこれからも

隣で作っていけたら…









赤「さっきも言ったけど…来年も行こうか…。」

貴「…え。」

赤「なんなら、花火だけじゃなくて、他の夏っぽい事とか冬っぽい事も…。」

ほんの少しの戸惑いを含んだ綺麗な瞳が揺れている。

貴「うん…!」








ふんわり柔らかく微笑んで

水宮はまた、

踏み込んだ俺を抵抗する事なく受け入れてくれた。

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chocola ぽんむ(プロフ) - さぁや様 コメントありがとうございます!!毎日読み返して…なんて嬉しすぎます!これからもお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年12月17日 20時) (レス) id: ecbc6eb541 (このIDを非表示/違反報告)
さぁや(プロフ) - 初めて読んだ時、とても気にいりました!完結まで頑張ってください!毎日読み返してます! (2021年12月15日 21時) (レス) id: 3ef3c39db1 (このIDを非表示/違反報告)
chocola ぽんむ(プロフ) - もえ様 コメントありがとうございます!ずいぶん亀更新になってしまってますが、最後まで書き切る予定ですので、これからもよろしくお願いします! (2021年9月6日 18時) (レス) id: ecbc6eb541 (このIDを非表示/違反報告)
もえ(プロフ) - 最近読み始めた者ですが、すごく好きです…!!更新楽しみにしております。 (2021年9月5日 16時) (レス) id: a988e3c67f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぽんむ | 作成日時:2021年6月2日 8時

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