Jellyfish【平野紫耀】 (ページ43)

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撮影が始まる。

カメラマンさんに指示されるままに動かなきゃいけない。

さらにカップルなので少し密着度も増す。

カメラマン「Aちゃん、泣ける～？」

そう提案された。

泣くことなんて、今までの雑誌の撮影でなんかなかった。

昔の自分が、お願いされたらきっと出来なかったと思う。

でも、今の自分にはそれができた。

それは、紫耀が目の前にいるからだった。

おでこを合わせながら、紫耀に顔を手のひらで優しく挟まれる。

そんなポーズだった。

泣けと指示されると、すぐに涙が出てきた。

反射的に、紫耀が頬に伝う涙を親指で拭おうとした。

カメラマン「いいね！リアル！リアル！」

カメラマンさんにも、その場にいたスタッフの方たちにも大絶賛された。

みんなして口々にこう言う。

本物のカップルみたいだったよ

と。

A「ありがとうございます」

と笑顔で答えると、紫耀が横から私の顔を切なそうに見る。

それでも、そんなことを気にしていられなかった。

紫耀に触れられた部分が痛くて熱を持ってジンジンしている。

撮影中、思い切って紫耀のきれいな肌に触れようとすると胸をチクッと刺された気持ちになる。

それは、触れば触るほど痛く腫れてしまうようだった。

まさに紫耀が、クラゲのようだった。