〈HQ〉君のチョコレート【赤葦京治】【完結】6

6-42 粒目 ページ42

今度は私の両肩を掴んだ赤葦くん。

優しく触れてるけど

珍しく慌てたような動きに少し驚いた。









赤「あ…。えーっと…」








目が合うと

一瞬目を見開いて、難しそうな顔しながら

視線を逸らした。









赤「そろそろ帰ろうか…。色々マズい。」









貴「あー…。」









たしかに…結構遅い時間になってしまった。

赤葦くんに促されながら立ち上がった。









貴「ゆっくりし過ぎたかな。家は大丈夫？」

赤「…………あぁ…大丈夫。」









無表情で私を見る赤葦くんの返事は

なんだか空返事というか、

違う事を考えながら返事しているみたいだった。

不思議に思いながらも、

身なりを整えて、

赤葦くんに背を向けて荷物を手に取った。









赤「ほんと…食べたくなるから…。」









振り返ると、

赤葦くんは外をぼんやり眺めていた。

貴「……お腹空いた？」









赤「え？？」

ハッとした顔をしてこっちを見た赤葦くん。

貴「食べたくなるって…」









赤「あ。…あぁ…。」

頬を指で少し掻いた後、荷物を手に取った赤葦くんは

少し上を向いて、

私の方を向き直した。









赤「腹減ったかな。一緒に食べない？」

貴「作ろうか？」

赤「うーん…。すごく捨てがたいけど、もう遅いし、何か食べに行こう。」

そうなると選択肢は１つだけ。

赤葦くんもきっと同じこと考えてくれてる。








貴「パスタとケーキ！」

赤「うん。行こうか。」

私たちは教室を後にした。

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