〈HQ〉君のチョコレート【赤葦京治】【完結】6

6-19 粒目 ページ19

オーナーに渡した書類のメーカーは

今使っているダーツのメーカーで

本社が仙台のメーカー。





だからってどうなるとかは無いけれど

私は今の、宮城の烏野高校に通いながら




バレー部のお手伝いをして

皆と馬鹿騒ぎしたり、

毎日必死に練習する皆を応援したり

合間にダーツしたり





この生活がすごく気に入っている。

皆とお互いに応援し合うこの生活を

手放そうとは思えない。





オ「学校辞めて、
その分練習量増やしたからって強くなるわけじゃねぇもんな。」

貴「うん。ただ…今は練習する。」





強くならなきゃ。





もう、手も足も出ない試合はしたくない。

合宿で進化した烏野のように私も進化しなきゃ





兄さんは私のメンタルコントロールをかって

コーチ補佐にしたんだ。

こんな自信が持てないままじゃいけない。

とにかく









"投げなきゃ"









私はダーツを手に取った。




貴「……………………あれ？」

オ「…………どうした？」









ダーツを手に取った瞬間、固まった私を見て

心配そうに聞いてきたオーナー。





なんでもないです。と返事して

ダーツボードへ向かう私。









"投げなきゃ"……ってなんだ？









「Aちゃん、俺とゲームしようぜ。」

貴「お願いします」

常連さんに誘われて一緒に投げはじめる。






"投げなきゃ"なんておかしい…






今まで私は、投げること自体は楽しくて

試合に勝てなくて

何度も何度も這いつくばって泣いた時も

練習する時は"投げよう""投げたい"

と思ってきた。





なにかがおかしい






はっきりとした違和感を感じた。

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