〈HQ〉君のチョコレート【赤葦京治】【完結】２

2-6粒目 ページ6

私の前に立つ月島。

星野は去って行った。




私の顔は、まだ少しだけ熱が残ってる。




はぁ…。

小さくため息をついた月島がゆっくり振り返る。




何か言わなきゃ…

声をかけようとすると…

貴「っ！」

ニヤリと意地悪く笑った月島。




月「図書室の…お返し。」

貴「なっ…！！！」

どこから…！どこからが演技！？

あぁ…悩む事ないか…全部か！









"彼氏になるのは僕なので"



"A"









…び、びっくりした…！！


カバンを持ち直した月島は

動揺してる私をそのままに歩き始めた。




月「僕らこそ…ある程度の噂は、覚悟した方が良いだろうね。」

貴「どーすんのよ。部員の耳に入ったら最悪…」




月「大丈夫でしょ。」

月島は涼しい顔して振り返る。




月「水宮は明日から東京で不在が増えるし…テストも迫ってくる。すぐ、噂どころじゃなくなるでしょ。」


私は小さくため息をつく。




月「でも…やりすぎたかも。ゴメン。」

貴「え…。」




月「まぁ、お互い様って事で。」

貴「私こそ…図書室ではやりすぎたから…ゴメン。」

月「ん。」


月島は私のところまで戻って

肩をポンとたたく




帰るよと言われた。

うん。と返事をし、月島の横を歩き始めた。









"A"







呼ばれた時はやり返されたと思った。

恥ずかしかったけど、

少し悔しくて腹が立った。




ただ、月島の横は楽だ。

今の私たちのこの距離感は

きっとベスト。

月島に出会わなければ




烏野バレー部と関われる事は

無かったかもしれない。



身内以外に応援される

幸福感は味わえなかったかもしれない。







本当に、大切な人だと思った。

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