〈HQ〉君のチョコレート【赤葦京治】【完結】２

2-45粒目　赤葦side ページ45

貴「夕飯食べて行かない？」

理解するのに時間がかかった。




あれ？なんだっけ…


なんとなく喜ぶかなと思って

カフェのチョコレートをあげて

思った以上に喜んだ様子で安心して

食材を選ぶ水宮の、

意外と家庭的なところを見ながら

いつもより機嫌良く夕飯を選んでいた。



俺、今、この子に手料理食べに来ないかって

言われてる…？




顔に出さないようにはしてるけど

色々戸惑っているうちに

水宮は慌てながら俺に話しかけていた。




貴「だいたい1人だから、食べてくれる人いた方が作りがいあるし…
惣菜持ち帰って家で食べるなら、ウチで一緒にどうかなぁって…」

どんどん声が小さくなっていく。

貴「でも…抵抗あるよね、人が作った物なんて。家で食べた方が落ち着くだろうし…。」

まるで、言わなきゃ良かったって思ってるみたいだ





赤「いただこうかな。」

え？と、驚いた顔をしてる。




俺は手に取った惣菜を元に戻した。

水宮はその戻されていく惣菜を

見つめてる。




赤「温かいもの食べれるなら、その方が嬉しい。」

貴「………。」

赤「水宮？」

固まった彼女に声をかけた。

貴「なんか…自分から言い出しといて、緊張してきた。」





赤「ふはっ。…期待してるよ。」

笑うと

もうっ。と少し頬を膨らませた。




緊張してるのは俺の方だよ。

まさか水宮の手料理が食べれるなんて。









買い物を終えた。

貴「結構重いよ？」

赤「大丈夫だから。かして？」

俺は買い物袋を持って水宮の少し後ろを歩く。

もともと電車を降りた時から

荷物を持って家まで送ろうとは思ってたけど

まさかお邪魔する事になるとは

思ってもみなかった。




貴「赤葦くんって和食好きそうだね。」

俺がソワソワしてるのをよそに

今までのペースで話す水宮。



赤「あー…そうかも…。あれ？和食の予定？」

貴「うーん…そうだねぇ…」




赤「買い物しながら決めるんじゃなかったの？」

少し笑うと水宮はむぅっと頬を膨らませた。




貴「緊張してるのー！私から誘っといてお口に合わなかったら最悪だなぁと今更思った…。」

せめてメニューだけでもお好みにしようかと…

とぶつぶつ言っている彼女に

また笑ってしまう。




赤「だから、何度も言うけど期待してるよ。」

水宮がピクリと反応する。








虐めすぎたかなと思ってしまうけど、

くすぐったいような

楽しいような

温かい雰囲気に

居心地の良さを感じる。

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